シャープは、2021年6月29日午前10時から、大阪市堺の同社本社多目的ホールで、第127期定時株主総会および経営説明会を開催した。
株主総会の議長は、代表取締役社長兼COOの野村勝明氏が務め、代表取締役会長兼CEOの戴正呉氏は台湾からテレビ会議で参加した。出席株主数は63人。質問は1人。27分で終了した。
株主総会の冒頭に野村社長兼COOは、子会社であるカンタツにおいて発生した不適切会見処理に関して、出席役員とともに陳謝。「このような事案を二度と起こさないため、徹底した再発防止策を実行していく」と述べる一方、「2020年度は、新型コロナウイルスの長期化や半導体不足などの影響があったが、業績は大幅な増益を達成した。強いブランド企業シャープの確立を加速する」と語った。
また、午前10時45分からスタートした経営説明会には約50人が出席。こちらも27分で終了。延べ9人から質問があった。
白物家電の販売状況については、「2020年は巣ごもり需要で業界全体が好調だったが、2021年に入り、素材の価格が高騰している。だが、健康、清潔の意識が高まっている」と回答。液晶パネルについては「2020年年初は厳しい状況であったが、年末から2021年にかけて需要が高まり、好調に推移している。中小型パネルも、在宅勤務などの影響でIT関連向けが好調に回復している」とした。
また、研究開発の仕組みについては、かつてシャープで行っていた緊プロ(緊急プロジェクト)制度を発展させ、時期を限定せずにその都度、One SHARPとして取り組むプロジェクトをスタートさせていること、会長ファンドによる取り組みを行っていることなどを説明。さらに、Dynabookの上場計画については、「シャープは上場に向けて引き続きサポートをしていく」などと回答した。
経営説明会の最後に戴会長兼CEOは、「厳しい環境下にはあるが、役員、従業員一人ひとりが、攻めの気持ちをもって、成長に向けて邁進していく」と述べた。
一方、シャープでは、この日、「mini LED 次世代ディスプレイ」を発表しており、その試作機を、株主総会会場で、株主に対して先行公開した。
mini LED 次世代ディスプレイは、光源であるバックライトに、小型LEDを採用。高密度に敷き詰めて制御することで、液晶ディスプレイの輝度やコントラストなどの表示性能を飛躍的に向上することができるのが特徴だ。「大画面テレビのさらなる高画質化を実現できる」と、同社では説明する。
試作機では、従来製品に比べて、約10分の1サイズの小型LEDをバックライトに使用。これを8000個以上配置し、1000以上のエリアに細かく分割して駆動しているという。
描写する映像に応じて各エリアのLEDの点灯、非点灯をきめ細かく制御。電力を効率的に活用し、2000nit(cd/m2)以上の高いピーク輝度と、100万対1以上の高コントラスト比を実現した。また、量子ドット技術によって、バックライト光の波長変換を行い、従来製品に比べて、約1.2倍の広色域表現を可能にしているという。
試作品を見た男性株主は、「従来モデルと比べて、鮮やかさがまったく違う。色合いがとても美しい」とコメント。女性株主は「わー!(画面が)明るいわねー!いままでと全然違うわね。とってもきれい」と驚いていた。
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