AppleはWWDC21で「秋に正式版を公開する」とした新しいOS群について、一般の人も試すことができるパブリックベータ版を公開した。
Apple Beta Software Programから登録することで、iOS 15、iPadOS 15、watchOS 8、tvOS 15が利用できるようになる。
今回の各OSを通じてのポイントは、セキュリティ、プライバシーに対して、iCloudサービスを交えた新しい強化策が追加されたこと、ウェブブラウザSafariのプラットホーム横断的な進化や拡張機能への対応、FaceTimeの強化とコンテンツを同時に楽しめるSharePlayの導入、そして通知によって仕事や生活を邪魔されない環境作りが可能となる「集中モード」の導入だ。
個別のOSで見ていくと、特に楽しみなのはiPadOS 15だ。
iPadOSはiOSとして開発が進められ、iPhoneとiPadの親和性を強く打ち出してきた。しかしiPhoneの大画面化や用途開拓の難航から、2014年からの3年間大きな不振にあえいできた。
iPadの製品そのものについては、低価格で高性能な教育市場向け戦略モデルの投入、iPad Proの投入によるハイエンドタブレット市場の開拓などのテコ入れ策が成功し、コロナ禍以前から復調してきた。
しかしiPadOSにブランドが分かれると、キーボードとマウスをサポートし、「新しい時代のコンピュータ」としてより本格的に仕事ができる環境を整えるようになった。すると何が起きるかというと、今度はこれらのデバイスが前提となるMacとのカニバリゼーション(自社内競合)だ。
筆者はiPadでの仕事の時間が非常に長かったが、MacにM1が搭載され、処理能力とバッテリー持続時間が飛躍的に向上すると、MacBook Proがモバイルのメインマシンとなった。iPadよりバッテリーが長持ちし、できることに制限がなかったからだ。
こうした背景で登場するiPadOS 15の役割は明確で、「iPadだからできること」「iPad性」みたいな部分をきちんと表現する点だ。
特に日本市場では、手書きで認識・入力が可能になるスクリブルの日本語対応、新たにApple Pencilを画面右下からなぞるとすぐに書き込める「クイックメモ」の3つの機能に期待している。
これらはiPhoneでもMacでもできない、iPadの文房具的な活用方法として、非常に便利に使うことができる仕組みで、iPadらしい体験の中心になっていくだろう。
この機能を最も生かせそうなサイズが、7.8インチクラスのiPad miniであり、このモデルがぜひ存続し、本体にアタッチできるApple Pencilに対応する新モデルが登場してくれることに期待したい。
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