アップル、WWDCでARメガネは未発表でも「iOS 15」で予兆? - (page 3)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2021年06月22日 07時30分

Appleの現実世界のARレイヤーはゆっくり進化中

 ARメガネを現実世界で活用するには、現実世界をAR用にマッピングすることが必要になる。Appleは過去数年間をかけ、LiDAR機器を搭載した車を使ってそのマップを徐々に更新してきた。物理的な場所にタグ付けできる、現実世界のARに対応した都市も増えているところだ。Appleの場合、現時点では米国の都市が対象だが、秋から米国外の初めての都市としてロンドンが追加される。複数のユーザーに仮想アートを表示したり、次期バージョンの「マップ」でARベースのナビゲーションを表示したりするには、最新のARKitツールでそのような位置ベースのARレイヤーのデータが必要になる。

 Appleは、QRコードに似たApple版のタグを使って、現実の物体にタグ付けすることにも意欲的だ。これは、「App Clipコード」と呼ばれており、これをスキャンするとAR効果が表れて、スキャンした物体、あるいは近くの物体にマッピングすることができる。このタグから、ミニアプリの「App Clip」が、ARに対応した形式で起動する。App Clipは2020年のiOS 14で発表されたアプリで、Appleはこのアイデアに2020年から取り組んでいたのだが、この機能の進捗はそれほど良くはないようだ。いずれ、製品(Apple自身の製品が妥当だが、「HomeKit」のアクセサリーも考えられる)にこのApp Clipコードが付くようになるだろう。

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2020年に発表された「App Clip Codes」は現実の物体にARレイヤーを構築するAppleの現在進行中の取り組みだ。
提供:Screenshot by Jason Cipriani/CNET

 現実世界に基づく、多人数用のARを模索している企業は他にも多い。Snapchat、Niantic、Google、Microsoft、Facebookなどがその筆頭だ。こうした他企業との進捗の差によって、常時装着していられる高度なARメガネをAppleがいつ頃発表できるか決まる可能性がある。それまでの間に、Appleの来たるべきVR/ARのハイブリッドヘッドセットが登場し、現実世界の場所への依存度を低くすることで、開発者のギャップを埋めることもできるかもしれない。

次に来るのはプロ向けのヘッドセットか

 Appleが2022年にAR/VRハードウェアを発表する可能性もないではない。だが、新しいソフトウェアと、これまでとは大幅に異なるOSについての議論は、それよりもっと早く始めていなければならないだろう。Appleがこれまで新しいプラットフォームを発表してきたタイミングから推測すると、1年前から始めていなければならないだろうか。これらの新しいARツールで新たな共有、キャプチャ、ユーザー補助機能が作り出されているが、その先にこそ、コミュニケーションとコラボレーション、そして仮想のものを現実世界に映し出すことに重点が置かれた、Appleのヘッドセットが次に目指すものがあるのかもしれない。

 AppleがAR/VRヘッドセットの世界に遅れて参入したことは、既に周知の事実だ。もともとAppleは、新しい技術に後から乗り出してくる傾向がある(「Apple Watch」のときもそうだったし、iPhoneや「AirPods」でもそうだった)。FacebookやSnapchat、Microsoftといった多くの企業がもっと実験的な段階から新しく生まれたアイデアを共有している一方、Appleは最初のヘッドセットが完全な状態になるまでじっくり時間をかけているのかもしれない。あるいは、ARソフトウェアの進化を、隠すことなく、機能ごとに少しずつ小出しにするという現状を今後も続けるとも考えられる。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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