Appleは拡張現実(AR)ヘッドセットを開発中だと伝えられている。ARメガネ、あるいはARと仮想現実(VR)のヘッドセットかもしれない。とにかくその類いのものが2021年か2022年、あるいは2023年に登場すると、多くのメディアが報じている。どうやらパズルのピースがそろってきたようだ。
だが、新型コロナウイルスで混乱中の2020年に動画だけで開催されたAppleの開発者会議「WWDC」では、これらの計画については何も発表されず、示唆すらなかった。その代わり、パズルを完成させるための、そしてまだ答えられていない疑問に関連する、いくつかのピースが出てきた。
2019年、AppleはARでのマルチプレーヤー体験を可能にする、仮想世界のピースを構築する統合ARツールを披露した。2020年、Appleが「iOS 14」と「iPadOS 14」でアップデートした開発者向け新ツールキット「ARKit 4」は、ARで重要な役割を担うが、ダイナミックな新機能はほとんどないようだ。これ以外に発表されたものにも、ARで果たす役割があるようだ(ARKit 4はAppleのプロセッサー「A12」以降を必要とする)。
ARに関連しそうなピースをここで見ていこう。
この春発売された202年のiPad Proは、空間をスキャンし、3Dマップを作成する独自のLiDARセンサーを備える。このセンサーは、将来のiPhoneと、おそらくAppleのARヘッドセットにも搭載される、世界をスキャンする機能である可能性が高い。ARKit 4には、LiDARをサポートする「Depth API」が含まれている。このAPIは、より正確な測定を約束している。開発者は既にLiDARを使って屋内や空間をスキャンし、それをメッシュアウトしている。こうしたデータはARだけでなく、CADなどのフォーマットで空間モデルとして利用できるだろう。
Microsoft、Snap、Googleと同様に、AppleはARKit 4に「ロケーションアンカー」を追加した。この機能は、GPSとマップのデータを一致させる高性能なツールを備える。これらのジオロケーションマーカーを使うと、マップ上の特定の場所にAR体験をピンで固定できる。
Microsoftが2019年にリリースした「Minecraft Earth」には既に位置固有のアンカーがある。Appleはこのアイデアをさらに先に進めて、マップ上に固定した世界や体験を共有する準備ができているようだ。既に可能になっているARでのマルチユーザー機能と組み合わせれば、例えば場所固有のアート体験のような、現実世界に固定したARオブジェクトを共有する機能につながる。ただし、Appleによると、新しいジオロケーションアンカー機能は当面は米国の一部の主要都市でしか使えない。位置を正確に調整するためには高精度なマップデータが必要なためだ。
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