日本マイクロソフトは、ビックカメラとの協業により、Surfaceなどのマイクロソフト製品に関する「オンライン接客」サービスを開始。販売促進の成果があがっているという。オンライン接客とはどういったものなのだろうか。実際に体験してみた。
オンライン接客サービスは、ビックカメラ.comのSurfaceのページに用意されている。
ページの右下に表示されるアイコンや、「Surface選びに迷ったら、オンラインでご相談いただけます」と書かれたバナーをクリック(タップ)することで利用できる。アイコンの枠がグリーンだとつなぐことが可能で、グレーだと接客中であるため、時間をおいて再度クリックしてほしいという。
マイクロソフト プロダクトアドバイザーである荒川涼子氏は、「コロナ禍のいまは、お店に買い物に行きにくいとか、在宅勤務が増え、仕事帰りにお店に寄る機会が減ったという人が多い。オンライン接客は、店舗に足を運ぶことなく、好きな時に、好きな場所から、製品知識を持ったスタッフに、製品選びの相談ができるサービス。新型コロナウイルスの感染リスクを下げることができる」とメリットを説明。
「スマホ、タブレット、PCなど、さまざまなデバイスでの利用が可能であり、スタッフは、カメラを通じて、製品や使い方をデモストレーションする。最新製品およびアクセサリーを取りそろえており、デスクに設置した際や、手に持った際の色や大きさ、薄さを確認したり、詳しいスペックの紹介、技術的な質問にも回答したりできる」と、オンライン接客の仕組みを紹介する。
サイト上から。プロダクトアドバイザーと呼ばれるスタッフにつながると、用途や目的などに応じて対話をしながら、購入に関する相談に乗ってくれる。
利用者は、自分の姿をカメラに映し出すことがなく、会話ができる仕組みになっているのも特徴だ。荒川氏は、「お客様の表情を思い浮かべながら、集中して話を聞くことを心掛けている。いままでは、すでにSurfaceを利用した経験がある人や、ある程度パソコンに詳しい人が接客の中心になっているが、初めてパソコンを購入する人でも、1対1での対話なので、どんなことでも安心して相談してもらえるサービスになっている。時間制限はないので、知りたいことについて、時間をかけて聞いてもらうこともできる。これをきっかけに、快適なライフスタイルを手に入れてほしい」とする。
利用できるのは、午前11時から午後10時まで。4月のサービス開始以降、年中無休で対応している。プロダクトアドバイザーによるオンライン接客は最大4人まで同時に受けることが可能で、1人あたりの接客時間は、平均5~10分程度だという。
オンライン接客に対応してくれるプロダクトアドバイザーは、実際に店頭での勤務経験者であり、なかには、日本マイクロソフトのデモストレーションコンテストで優勝経験があるスタッフもいるという。
「お客様が製品を理解しやすいような撮影の仕方についても、事前にトレーニングを受けている。急にカメラが移動してしまうと見えにくいということがないように、スタッフも工夫しながら製品を紹介している」という。
ビックカメラの店舗や、日本マイクロソフトの本社とは別の場所にある外部スタジオを借りて、そこに、書斎、子供部屋、キッチン、リビングの4つの「ライフスタイル空間」を再現。実際の家庭での利用シーンをイメージしやすくしている。
最近多いのが、リモートワークやリモートラーニングに最適なPCを探しているという相談だという。こうした際には、書斎や子供部屋のコーナーを利用して接客するという。
書斎コーナーでは、リモートワークでSurfaceを利用するシーンを想定して製品を紹介。2021年4月発売の「Surface Laptop 4」を展示しているほか、大型液晶ディスプレイやマウス、ナンバーパッド(テンキー)、Surfaceドックなども展示している。
「Surface Laptop 4は、Surface Proからの買い替えの相談も多い。コストパフォーマンスの高さが評価されており、15型液晶搭載モデルは、画面サイズの大きさが人気である」という。また、子供部屋のコーナーでは、主に大学生が利用するシーンを想定。大学生や保護者に訴求している。もちろん、小中学生、高校生が自宅で学習用パソコンを購入する際の相談も可能だ。
「4月にオンライン接客サービスを開始した当初は、これまでパソコンを購入したことがない学生の相談が目立っていた。このコーナーでは、デザインを重視する女子学生にも人気な『Surface Laptop Go』を展示。タブレットとしても利用できる『Surface Go 2』の紹介や、Surfaceシリーズがペンやタッチの利用にも適している点を紹介している」という。
いまは引き続き、テレワーク需要が多いことも影響して、この2カ月間は、男性の比率が高く、20~40代の利用が多いという。
「最寄りの店舗が遠かったり、店舗にカラーバリエーションが展示されていないといった場合にも、オンライン接客サービスを利用してもらえる。Surfaceシリーズのラインアップが幅広いため、なにを選んでいいのかがわからないといった声ももらっている。メールをしたい、動画を活用したい、Officeを活用したいといったように、具体的な用途を、事前に明確にしておいてもらえれば、より目的や環境にあったパソコン選びや、少し先の未来を考えた提案といった点でのご支援がしやすい」としている。
オンライン接客が終わった後には、ビックカメラ.comのサイトから、オンライン購入ができる。
「オンラインストアだけで購入を検討している人よりも、オンライン接客を利用した人の方が購入率が高い」(日本マイクロソフト コンシューマー事業本部 コンシューマーマーケティング本部の森洋孝氏)という成果が出ている。
オンライン接客は、マイクロソフトがグローバルで展開している取り組みであり、アジアパシフィック地域では日本が先駆けて実施した。オンライン接客用のツールには、グローバル共通で、Go Instoreを活用しているが、4つの「ライフスタイル空間」に設置している机や椅子、ソファ、照明などは、日本の生活シーンにあわせて、日本独自に選定しているという。
同社は、2021年6月末で会計年度を終えるが、新年度となる2021年7月以降も、オンライン接客は継続的に実施。グローバルの予算措置のもとで遂行するという。
グローバルでは、マイクロソフト直営店舗の閉鎖を進めており、それを補完する取り組みが中心となるが、もともと直営店舗を持たない日本では、販売店支援の取り組みと位置づけられている点が異なる。
日本でオンライン接客を行っているのは、現在は、ビックカメラだけだが、「ほかの販売店にも提案を行っており、同様の展開を拡大する可能性がある。さらに、マイクロソフト製品以外のモダンPCにも対象を広げることも考えている」(森氏)としている。
現在、外部のスタジオを利用しているが、今後は、東京・品川の日本マイクロソフト本社内にもスタジオを設置することを検討している模様だ。
このほかにも、日本マイクロソフトでは、ビックカメラ.comのサイトを通じて、オンラインチャットによって、気軽に質問できるサービスを開始。火曜日、木曜日、土曜日、日曜日の午後12時から午後9時30分まで実施している。また、スマホを使って、AR機能により、自宅にSurfaceを置いた場合の様子をシミュレーションするサービスも提供している。
さらに、2021年5月からは、15型のSurface Laptop 4にフォーカスした「正解はSurface」というキャンペーンを実施している。5月20日からは交通広告の展開を開始しているのに続き、6月からは、全国5つのエリアで、テレビCMを予定している。
オンライン接客では、こうしたキャンペーンとも連動させながら、より効果的に情報を提供する考えだ。
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