新型コロナ感染拡大防止を受け、接客における非対面が推進される中、LIXILでは、オンラインで相談ができる「LIXILオンラインショールーム」を開設。この1年間で累計1万4000組以上が利用したという。色や質感、サイズ感が重要となる住宅設備のショールームとして、対面が当たり前の環境だったにもかかわらず、素早くオンラインを取り入れ、実現できた背景をLIXILが説明した。
LIXILでは全国85カ所にショールームを設置。しかし2020年4月の緊急事態宣言を受け、非対面での接客が求められるようになり、2020年5月にLIXILオンラインショールームを開設した。
コロナ以前からショールームにおけるデジタルツールに注力してきたという同社だが、「見積・シミュレーション システム」や「ショールーム 360°展示画像」「AR_ショールーム見積連動」「バーチャルショールーム」といったデジタル化を推進。「ウェブサイト上だが、回遊できるショールームの実現に力を入れてやってきた」とLIXIL マーケティング部門ショールーム統括部統括部長の竹下文人氏は説明する。
実際、オンラインショールームを採用してみると「お客様は自宅から参加されるので、家族全員で参加できる、小さなお子様がいてもゆっくり見られるというお声をいただいている」(竹下氏)と、オンラインならではのメリットが見えてきたとのこと。
このほかにも、自宅で寸法を測りながら説明を受けられるなど、実用性が高く、スマートフォンのカメラなどを使って、自宅を映してもらうことで、間取りや住まいのデザインを確認して商品の提案が可能。利点が多いという。
また、オンラインならではのサービスとして「おうちでナイトオンライン接客」も実施。これは17時~の時間帯に接客が受けられるもので、共働き世帯を中心に人気を博し、現在では約2割のユーザーがナイトタイムを利用しているという。
「予約枠はナイト時間が先に埋まってしまうこともあるほど。さらに、今まで、ショールームに出向き、コーディネーターがいる範囲でしか説明を受けられなかったが、オンラインになり場所の制約がなくなった。例えば、福岡のお客様を別の地域のコーディネ―ターが対応できるなど、予約枠を全国で一本化できる。これにより無駄のないサービス提供が可能になってきた」(竹下氏)と、時間と場所の制約をなくしつつあるという。
オンラインによる自由度の高い接客は、ショールームコーディネーターの働き方改革にもつなげる。「コーディネーターの在宅勤務ができることを目指した。ショールームは女性が多い職場。そのためライフイベントを機にリタイアするスタッフも多かったが、在宅であれば業務を継続できるケースが生まれてきている。店舗で提供するサービス業という職種のため、これまでは考えられなかった姿だが、オンラインサービスによって働き方は大きく変わってきた」(竹下氏)と、従業員の満足度向上にも寄与する。
当初は、実物を見せられないため、イメージをしていただくことが難しいと感じていたという、千葉ショールームコーディネーターの磯野由奈氏は「自宅のインテリアを見せていただくことで具体的な説明ができるように気をつけた。来館時よりもこまめにお声がけしている」とオンラインならではの接客の仕方を明かす。
オンラインショールームサービスセンターの沖田直子氏は「お客様の視線と表情を見逃さないように心がけている。オンラインということで、緊張されているお客様もいらっしゃるが、最初に自己紹介をしっかりとすることで、どういう人間かを知っていただく時間を大切にした」と、オンラインで感じてしまいがちな距離感を話すことで近づける。
コーディネーター同士でロールプレイングを繰り返すなど、ユーザーの感覚を掴むことで、スムーズなオンライン接客につなげているという。
今後は、展示商品をスマホで見せながら、提案する「LIVEコンサル」サービスのトライアル開始や、休館日の水曜日もオンラインショールームによるサービス展開を検討するなど、さらなる新サービスも控えているとのこと。
竹下氏は「今までは複数回ショールームに訪れていただきながら、商品を選び決定していただいていたが、オンラインショールームを開設したことで、初回はリアル、2回目以降はオンラインなど、組み合わせて利用していただくケースが増えている。リアルもオンラインもお客様に気軽に利用していただきたい」と話した。
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