金融犯罪を監視するプラットフォームを手掛けるFeedzaiが最新の金融犯罪レポートを発表した。このレポートでは、詐欺、銀行業界、および消費者の最新のトレンドを特定するため、2021年1月~3月に発生した全世界の120億件の取引を分析している。
レポートの見出しには、意気消沈させる数字が並んでいる。
銀行詐欺攻撃は前期比で159%増え、電話による銀行詐欺は728%増加。詐欺攻撃の90%以上がオンラインで発生しており、筆者が暮らすカリフォルニア州は、全米で最も詐欺が多い州という、ありがたくない称号を獲得した。ニューヨーク州よりも多いとは意外だ。
詐欺の件数は、パンデミック後の社会のロジックに沿って急増した。ロックダウンが解除されたことで、人々は国内外でより多くの金銭を使い始めるようになった。レポートの調査対象期間に、国際取引は410%増加している。取引の件数はパンデミック発生前の水準まで回復しつつあり、詐欺もそれに近い勢いで増加している。同時に、パンデミック下でデジタルサービスの利用が高まったことから、消費者がオンラインや電話で詐欺の被害に遭うリスクも増大した。特に、パンデミックが発生するまでは実店舗での買い物を好み、デジタルにあまり詳しくないと考えられる消費者が、より大きなリスクにさらされた。
「世界は2020年に一時的に停止したかもしれないが、金融犯罪者たちは活動を止めなかった」。Feedzaiのグローバルデータサイエンス担当シニアディレクターを務めるJaime Ferreira氏は、そう語った。「デジタル形式のショッピングや銀行取引、決済の利用が増えたことで、実際には、詐欺師たちがより素早く、より多くの人を攻撃することが容易になっている。銀行の支店やショッピングモールに足を運ぶ必要を感じる消費者が少なくなっているので、われわれは金融サービスや決済システムをそうした状況に適応させて、消費者を守る必要がある。また、消費者である私たちは、今後も警戒を続け、自分の身を守る方法を学ぶ必要がある」(同氏)
レポートによると、オンライン、対面、電話のどの形態かを問わず、銀行が詐欺師の主要な攻撃経路になっているという。筆者が先頃、あるアイテムを地域取引サイトの「Craigslist」に掲載したところ、見え透いたものも、かなり手の込んだものも含めて、いろいろな詐欺の標的になった。そのすべてが何らかの詐取を目的としており、筆者の銀行口座にアクセスしようと試みる者もいた。パンデミック下で、多くの銀行支店が休業したり、時短営業を余儀なくされたりしているため、銀行業務は主にオンラインと電話で受け付ける形に移行している。詐欺師にとっては理想的な狩場だ。
米国内でカリフォルニア州に次いで最も詐欺が多かったのは、フロリダ州、ワシントン州、アーカンソー州、ニューヨーク州だ。興味深いことに、「Android」デバイスは「iOS」に比べて、取引件数が半分であるにもかかわらず、詐欺の件数は1.9倍だった。Appleは「App Store」のアプリを厳格に管理しているため、詐欺師にとってAndroidよりもiOSの方が侵入しづらいのではないかという旨がレポートに書かれている。
これらの調査結果は、これまで以上に警戒を強める必要があることを浮き彫りにしているが、そのメッセージを受け入れてもらうのは難しいかもしれない。世界の一部の国では、パンデミックの最悪の段階がようやく終わったと考えて、皆でほっとため息をつき、夏に向けて活動する準備をしているところだからだ。
Feedzaiの「Financial Crime Report Q2 2021」は、こちらに全文掲載されている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス