斬新なアイデアでイノベーションを生み出す人は、どのように思考を巡らせているのだろうか。著者の暦本純一氏は、「スマートスキン」をはじめとする数々の発明を生んだユーザーインターフェースの第一人者である。スマホがない時代に、画像を複数の指の操作で拡大縮小する「スマートスキン」を開発していたというのだから、天才の成せる技だとしか思えない。しかし、著者は、そのアイデアの源泉は、誰もが持っているはずの「妄想」なのだと語る。
本書で、著者は「妄想」をイノベーションへと昇華させる手法を詳細に公開している。個人が自らの欲望の赴くままに思い浮かべる「妄想」は、そのままでは実現可能性が低く、だれかに求められるような価値もないように思われるかもしれない。しかし、だからこそ「新しさ」を秘めている可能性がある。生まれたてのモヤモヤした妄想を洗練させるために著者が実行しているのは、いたってシンプルな思考法だ。すなわち、自分の妄想を直視することからすべては始まるというのである。
「新しいものを生み出す」ことに苦労している人は多い。そうしたとき、誰かのためではなく、自分のやりたいことを追求した先に、イノベーションが起こりうるとしたら、どんなにわくわくしながら取り組めることだろう。新しい発想を求められるビジネスパーソンだけではなく、やりたいことが見つからない学生や、希望に満ちた未来を渇望する読者におすすめしたい1冊だ。
今回ご紹介した「妄想する頭 思考する手 想像を超えるアイデアのつくり方」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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