オンキヨー、ホームAV事業をシャープらが設立する新会社に譲渡

 オンキヨーホームエンターテイメントは5月26日、VOXXとシャープが合弁で設立する新会社にホームAV事業の全部を譲渡することに関する契約締結を行うことを決議したと発表した。6月25日に開催を予定している定時株主総会で承認が得られることを条件としている。事業譲渡は7月1日に実行する予定だ。

 同社は、2013年度から経常損失が継続しており、取引先に対する営業債務の支払遅延が生じていたとのこと。2019年5月21日に、DENON/Marantz/Polk Audioなどのオーディオブランドを持つ、Sound UnitedのグループとオンキヨーホームエンターテイメントのホームAV事業の譲渡契約を締結し、譲渡対価で得た資金によって支払遅延の解消と既存借入金の返済を進めることによって財務状態の改善を図る計画を準備していたが、事業譲渡の実行に必要な契約の締結や資金調達の確保といった条件を達成できず、事業譲渡を中止していた。

 オンキヨーホームエンターテイメントでは、その後も支払い遅延の解消を目指したが、株価の低迷で調達金額は計画を大きく下回ったこと、新型コロナウイルス感染症の影響から、生産及び販売活動が限定され、当初予定していた経常収入が得られなかったことなどから、2020年3月期において、33億5500万円の債務超過に陥り、2020年9月25日付で上場廃止に係る猶予期間に入っていた。

 今回、2020年からオンキヨーホームエンターテイメントの米国販売代理店となった11 Trading Companyの親会社であるVOXXと、オンキヨーの合弁工場であるS&O Electronicsを通じ、以前から取引のあったシャープと、事業譲渡に関する協議をし、事業譲渡に至ったとしている。

 オンキヨーホームエンターテイメントは「このまま自らの力のみで事業運営を続けていくことはもはや困難。今回の事業譲渡が唯一のとり得る方策であり、これを選択するに至った」とコメントしている。

 ただし、事業譲渡の対価のみでは、債務の弁済はできず、今後、残存する事業においても協業先やスポンサーを継続して探すとともに、構造改革やスリム化によるコスト削減を早期に実現し、小規模でも確実に収入を確保できる体制を整えていくとしている。

 シャープでは、5月11日に開催された、2020年度の業績発表の中で、オンキヨーホームエンターテイメントのホームAV事業買収について言及。「テレビやスピーカーなどで関連があり、検討しているところ」とコメントしていた。

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