川崎重工とソニーがリモートロボットプラットフォームの新会社--労働力確保へロボット活用

加納恵 (編集部)2021年05月21日 16時59分
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 川崎重工業とソニーグループは5月21日、リモートロボットプラットフォーム事業を行う新会社を設立すると発表した。実作業を伴うリモートワークを実現し、現場に行かなくても働ける環境を提供していく。

川崎重工業 代表取締役副社長執行役員の山本克也氏(左)、ソニーグループ 常務の御供俊元氏(右)
川崎重工業 代表取締役副社長執行役員の山本克也氏(左)、ソニーグループ 常務の御供俊元氏(右)

 新会社は2021年夏に合弁で設立。出資比率は川崎重工業50%、ソニーグループ50%で、代表取締役社長には田中宏和氏(ソニーグループ)、代表取締役副社長には長谷川省吾氏(川崎重工業)が就く。

 川崎重工業 代表取締役副社長執行役員の山本克也氏は「新型コロナウイルスの感染拡大により、人々の生活スタイルは一変した。とくに人との接触を減らせるリモートワークが広がり、お客様との打ち合わせや社内会議などもオンラインですることが日常になった。しかしリモートワークは、まだ一部の職種に限定されているのが実情ではないか。工場や物流、医療現場はリモートワークをまだすることができず、モノづくりの現場では、多くの人が職場でしかできない仕事をしている。一方で、子育て中や高齢者など、スキルや知識を持っていても、理由があって外で働けない人もいる」とリモートワークの現状を話した。

 続けて「本人による本人の仕事の遠隔作業が実現し、ロボットが人間の分身のように動ければ現場に行かなくても働けるようになる。こうしたことにより危険な作業から解放されるなど働き方が大きく変わる。この世界を実現できれば、自宅から仕事ができ、さらに海外の仕事にも携われる。さまざまな理由から外で働けない人の社会参加を促し、働き方、暮らし方を抜本的に変革していきたい」と新会社設立の狙いを話した。

 新会社では、川崎重工の産業用ロボティクス技術とシステムエンジニアリングに、ソニーが得意とするセンシング、映像、通信技術などをかけ合わせることで、リモートロボットプラットフォームを構築していくとのこと。山本氏は「無限の可能性を秘めた取り組み。未来を創造するのにも必要不可欠な挑戦と確信している」と意気込む。

 新会社の代表取締役社長に就任予定の田中宏和氏は「すべての人が社会参加できるリモートワーク社会の実現を目指し、両社の製品と技術を融合することで新しいワークスタイルを提案していく。その基軸となるのがロボット。遠隔から操作することで、安心、安全な作業スキームとフレキシブルな作業空間を提供する」と事業内容について説明。さらに「社会環境は大きく変化し、人手不足は社会で共通した深刻な課題。危険をともなう作業の担い手も減少、後継者不足問題もある。2030年には約640万人の働き手が不足するとも言われている」とし、新会社では人手不足に悩む事業者とワーカーをつなぐ役割を果たす。

新会社 代表取締役社長に就任予定の田中宏和氏
新会社 代表取締役社長に就任予定の田中宏和氏

 2021年夏の合弁会社設立後は、両社が持つ製造事業分野における実証実験を経て、サービスを開始していく予定。「川崎重工、ソニーグループともに製造事業を持っており、そちらの工場内で実証実験を進めていく。当初は工場内での遠隔操作を実施し、その次のステップとして工場外への展開を考えていく」(田中氏)とコメント。

 導入する会社の規模としては「まずは大企業の現場の中から、特に危険が伴う作業や作業環境が厳しい場所に提供していきたい。そこを拡大させながら中小企業への展開を考えたい」(新会社 代表取締役副社長の長谷川省吾氏)とした。

新会社 代表取締役副社長に就任予定の長谷川省吾氏
新会社 代表取締役副社長に就任予定の長谷川省吾氏

 両社で合弁会社設立に至った背景については「新型コロナ感染が発生する以前から進めていた話。両社の技術を紹介しあう場があり、そこがきっかけとなった」(山本氏)とコメント。ソニーグループ 常務の御供俊元氏は「ソニーの強みは、映像技術などで培った画像処理をして解析し、低遅延で伝送すること。今回川崎重工と一緒にやることで技術や知見、経験をさらに役立てていきたい」とした。

 売上目標については非公表としたが、田中氏は「非常に大きな市場規模を想定している。新会社を通して実現したいのは、人とロボットにおける新しい働き方の実現。労働力の減少に真正面から向き合い、技術や知見を組み合わせ、この課題を解決していきたい」とした。

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