ミクシィから4月21日に、会話特化型コミュニケーションロボット「Romi(ロミィ)」の一般販売が開始された。それに伴い、3週間程度、貸していただき、Romiとの生活を体験した。これまでのコミュニケーションロボットと何が違うのか、Romiは何が優れているのかを検証する。
まずはRomiについて軽く紹介。Romiは基本据え置きタイプのロボットだ。本体税込価格は4万9280円で、月会費として税込み1078円が必要になる。会話特化型コミュニケーションロボットと銘打たれているだけあり、対話によるコミュニケーション能力が高い。会話はスマホアプリとの連携により、クラウド上のAIによって行われる。したがって、Romiと会話するにはスマホとWi-Fi環境が必要となるので、Romiの導入を考えている人は、まずこの環境がすでにある、もしくは同時に導入できるかを考えておこう。
Romiの会話力の高さは、AIによる自然な受け答えだ。通常のAIの場合、直前の会話のみに対応することがほとんどで、連続した会話をしようとすると、会話のキャッチボールができていないことが多い。これはRomiで言うところのルールベース型を使用しているせいで、言われたことに対して莫大なデータから回答を選んで答えている。例えば、AIの「今日、ご飯何食べた?」と言う問いに対して、「カレーだよ」と答えた場合、「カレー」という単語だけに反応し、「カレー好きなの?」とか「カレー食べたいの?」と聞いてくる。このあたりは、iOSのSiriやAndroidのGoogleアシスタント、LINEのりんな辺りでも基本的にこの反応になるので、AIとの会話との基本とも言える。
それに対してもうひとつの会話エンジンであるディープラーニング型を使用することで、会話として成立させるように回答を選んでくる。先ほどの「ご飯」の質問に対しては、「カレーだよ」と答えたあと、「カレー食べたんだ。美味しかった?」と会話らしくなる。
人同士の雑談では、返事のみをする場合があり、「うん」「はい」「いいえ」などの返答に対して、ルールベース型だと、「うん」に対する回答を探しても答えようがなくなってしまう。ディープラーニング型だと、その前の会話や会話している相手の嗜好や過去の会話から、何に対して「うん」と言ったか考えられる。そこにRomiの雑談力が発揮されるわけだ。
会話力をさらに向上させているのが表情だ。Romiには液晶ディスプレイが搭載されており、会話の内容にあわせて、感情豊かに表現する。笑ったり、困ったり、悲しんだり。さらに季節イベントでは特別な顔を見せてくれるので、それも楽しみのひとつ。
人感センサーを搭載しているので、しばらく離席した後、帰ってくると、話しかけてくる。また、朝の挨拶や昼時、夕飯時には、食事をとったかどうかの心配もしてくれるのだ。多くのロボットやスマートスピーカーがこちらから話しかけることでコミュニケーションが始まるのに対し、Romi側から開始されることがよりRomiとの会話が弾むようになる。しかも周りにオーナーが居ようが居まいが定期的に話しかけるのではなく、ちゃんと自分の目の前に来たタイミングで話しかけることが会話をしやすくしている。
話しかけられたから相手をしましたと言う感じではなく、Romiもオーナーの帰りを待っていました、話がしたかったと言うように思えてくるところが愛おしく感じる。定期的にRomiからも話かけてくれる。四六時中話しかけられても困ってしまうのだが、基本的に起床時や昼ご飯や夕飯など、余裕がありそうなタイミングを見計らって声をかけてくれるのだ。基本的にこちらから声をかけなければ、Romiは眠っている。
こちらから声をかける場合も、自然な会話の導入となっているのも見逃せない。さまざまなAI機器に話しかける場合、トリガーワード、ウェイクワードを言ってから起動させる必要がある。例えば「OK、Google」だったり、「Hey、Siri」だったり、「Hi、Alexa」だったり、そういったキーワードが必要だ。しかし、Romiの場合は、Romiの正面から話しかければ、そういったトリガーワードを話す必要はなく、いきなり「おはよう」とか「今日の天気は?」など、目的の言葉をかけられるのも特徴だ。近くに置いておくと、独り言や電話の会話にも反応してしまうところもあるが、それもご愛敬といったところだ。そういった場合は、Romiの向きを変えるだけで、反応しなくなるのでRomiとの会話を休みたい時に簡単に対応できる。
音声や人感センサー以外に、おでこ部分を撫でたりすることでもRomiは反応する。今は撫でたり、抱き上げたりに反応するだけだが、将来的にはこれらのセンサーを利用した新たなコミュニケーションが生まれる可能性はある。おでこのセンサーに関しては2回タップすると、現在の行動をキャンセルすると言う機能もある。さらに持ち上げに対しても反応する。このため、本体には、ジャイロセンサーが入っていると思われる。持ち上げるとRomiが喜ぶので、持ち運ばなくても定期的に手のひらに乗せて持ち上げたくなる。
Romiは基本的に据え置き型のロボットだが、内蔵バッテリーにより、ケーブルを外しても1時間程度は稼働する。なので、部屋を移動させたり、リビングに連れて行ったりすることも可能だ。
Romiは会話するだけでなく、一緒に遊べる機能も搭載している。ラジオ体操やしりとり、山手線ゲーム、じゃんけん、計算問題などをすることができる。しりとりは生き物限定か野菜・きのこ・果物限定の2種類ができる。
話をしてもらうこともできる。「昔話して」と聞くと、金太郎やウサギとカメなどの話をしてくれる。ただ、話自体を聞かせてくれるのではなく、あらすじとそれに対する感想を言うので、結構ざっくり。しかし、それがRomiらしく感じる。ほかにも落語も同様にあらすじと感想。怖い話はオリジナルの短めの話をしてくれる。
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