楽天グループは2021年5月13日に2021年度第1四半期決算を発表。売上収益は前年同期比18.1%増の3915億円、営業損益は373億円と、引き続き営業赤字となった。
赤字の要因は引き続き楽天モバイルの携帯電話事業を主体とした先行投資で、競争力強化のため基地局整備を大幅に前倒ししたことなどが大きく響いている。今後も積極的な投資が求められることから、今四半期には日本郵政グループなどからの出資や、永久劣後債の発行などで大規模な資金調達を実施し、財源確保に至っている。
ただ、モバイルと物流、投資事業の損益を除いたNon-GAAP営業利益は、前年同期比44.4%増の419億円と大幅な増益とのことで、事業自体は好調だ。特に主力の国内Eコマース事業に関しては、売上収益が前年同期比27.4%増の1582億円、営業利益が19.8%増の126億円と、共に2桁の成長を記録しているという。
Eコマース好調の要因は、新型コロナウイルスの影響による“100年に1度の社会変革”で楽天市場の利用が増えたこと。だがそうした人達が継続的に楽天市場で買い物をすることで、ユーザーの定着や、他のサービスを併用するクロスユースへとつながり、それがより大きな業績の伸びへとつながっているようだ。
また今回の決算では、物流分野に関して日本郵政との具体的な取り組みについても説明がなされた。楽天グループと日本郵政グループの日本郵便は、2021年4月28日に合弁で「JP楽天ロジスティクス」を設立しており、「楽天スーパーロジスティクス」など楽天グループの物流事業を承継するとともに、日本郵便の配送ネットワークと統合することで効率的な物流プラットフォームの構築を押し進めていくとしている。
楽天グループの代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏は、「0から自分達だけで作るという選択肢も考え、70%くらいの家庭には届けられるようになったが、どうしても残りの30%のコストが高かった」と、地方での配送網構築にかかるコストを抑えることが日本郵政との提携に至った理由だと話している。その上で、JP楽天ロジスティクスによる物流プラットフォームは、楽天市場への出店社以外も利用できるオープンなプラットフォームとして展開していく方針だとしている。
そしてもう1つの主力事業であるフィンテック事業に関しても、Eコマースでの楽天カードの利用が増えるなどして成長が継続。売上収益は前年同期比8.2%増の1516億円、営業利益は前年同期比23.8%増の245億円と、こちらも増収増益となっている。ただ三木谷氏は、それら事業の好調は楽天グループのエコシステムがあるからこそ実現しているものだとしており、フィンテック分野の上場には消極的な見解を述べている。
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