一方で先行投資が続く楽天モバイルは、累計申込数が2021年5月11日時点で410万を超えており、申し込みペースが順調に伸びているとのこと。楽天モバイルの代表取締役社長の山田善久氏によると、「番号ポータビリティで他社から乗り換える人の割合が増加している」とのことだ。
また楽天グループのエコシステムにおいても、楽天モバイルの貢献が少しずつ見えてきたと常務執行役員CMOの河野奈保氏は話している。楽天モバイル契約者のうち、累計で18%が楽天グループの新規ユーザーとなっており、楽天モバイルを入り口として楽天市場や楽天ペイ、楽天カードなどの利用を始める人が増えているとのこと。特にフィンテック関連サービスとは、高い親和性があるとのことだ。
今後は日本郵政との協業や、新たな5G向け周波数帯となる東名阪以外での1.7GHz帯の免許獲得などによる、4G・5Gのエリアの拡大などによって競争力強化と顧客基盤拡大を進め、2023年度の黒字化を目指すとしている。だが楽天モバイルにとって直近での大きなイベントとなるのは、やはりiPhoneなどアップル製品の販売を開始したことだろう。
三木谷氏はiPhoneの取り扱いについて、「アップルはネットワーク品質やサービスの要件が非常に厳しいが、我々はそれでアップルと合意に至った」と、自社のネットワークが評価された結果と自信を示す。その上で、日本での利用者が多いiPhoneを正式に取り扱うことにより、「既存のユーザーが他のサービスから楽天モバイルに切り替えやすくなるので、非常に喜んでいる」と答えている。
なお山田氏は、楽天モバイルの契約者1人当たりのデータ通信量が、契約翌月と9カ月後を比べると42%増加していると説明。同社の料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」は通信量に応じて料金が変わる仕組みということもあってか、三木谷氏はiPhoneユーザーがより多くのデータ通信を利用する傾向にあることから、iPhoneの販売が収益面での貢献に期待できると話している。
一方で、Rakuten UN-LIMIT VIは通信しなければ料金の節約も可能で、1GB以下の場合は月額料金がかからないことから、無料キャンペーン終了後にユーザーの通信量が大きく落ち込む可能性もある。だが三木谷氏は「(Rakuten UN-LIMIT VIの開始から)まだ日数が経っていないが、データ使用量としてはむしろどんどん上がっている」と回答。上限の20GBを超えて利用する人が少なからずいるとした一方で、通信量を1GB以下に抑えるユーザーは「もっと多いかなと思ったが、極めて少ない」(三木谷氏)と話している。
また楽天モバイルは、Apple Watchなど一部のアップル製品をまだ扱っていない。これらに関しても三木谷氏は「強化していきたい」と答えており、取り扱いに前向きな意向を示している。
ちなみに携帯電話事業に関連して、記者から日本電信電話(NTT)による総務省の接待問題の受け止めに関する質問が挙がっていた。これについて山田氏は「調査が進んでいるようなので、結果を待ちたい」と具体的な回答を避けたが、三木谷氏は「我々の方はそういうことはない」とも付け加えている。
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