アルヒは5月11日、第2の創業と位置付ける「中期経営計画2021」を発表した。住宅ローンに不動産とコンシューマーサービスをコア事業として加え、総合的な「住み替えカンパニー」を目指す。
アルヒ 代表取締役会長兼社長CEO兼COOの浜田宏氏は「2020年から2021年にかけての1年は、新型コロナウイルスという未曾有の危機に襲われ、大変苦しい時期を過ごした。しかし、この期間に自分たちがやっていること、やらなくていいことを見直し、計画を立てるのによいタイミングだったと思っている。そうした時期を経て、私たちは生まれ変わることにした。本日から第2の創業が始まる。住宅ローンカンパニーという枠を越え、世界的にも例のない、お客様の住み替えをワンストップで応援できる住み替えカンパニーになろうと思う」と、第2の創業に踏み切った背景を話した。
コア事業として位置づけたのは「住宅ローン事業」「不動産事業(居住用)」「コンシューマーサービス事業」の3つ。「住宅ローンは従来以上に成長させ、もっと加速する。不動産事業を本格的に開始する。今まではお客様サービスとして提供していた引っ越し会社の紹介などは、どちらかというと収益は生まない、サービスという位置づけだったが、これを収益をあげるコアビジネスに位置づける」と浜田氏は3つのポイントを話した。
新たにコアビジネスに加えた不動産事業については、街探し、家探し、住み替えコンシェルジュ、買取再販、リノベーション、不動産テック、住み替えローンといった、住み替えにかかわるさまざまなことをワンストップで提供していくとのこと。これまで6地域で実施した「本当に住みやすい街大賞」をはじめ、住まい、お金、暮らしの総合サイトとして、書籍版も提供する「ARUHIマガジン」などを通して、膨大なリードジェネレーションを獲得することで、お客様一人ひとりにあった「パーソナル住みやすい街」を提案する。
浜田氏は「住み替えには多くの悩みがつきまとう。その中でもこの不動産会社にお願いしていいのか、という不安を抱く人も少なくないだろう。その時に、信頼できるパートナーとしてお客様と一緒に併走していきたい」とコメント。それを実現するために、「ARUHI住み替えコンシェルジュ」として、不動産エージェントを1000人規模で組織化。オンラインと店舗の両方で住み替え相談ができる環境を整える。
コンシューマーサービス事業については、引っ越し、断捨離、カーライフ、エネルギー、インフラなど、住み替えにまつわる面倒なことや新しい生活に必要なサービスなどを提供していく。
引っ越しサービスについては、お客様と引っ越し会社をつなげる役割を果たしていくとのこと。「お客様にとって引っ越しは時間や手間がかかる上、出費も多い面倒な部分。一方、引っ越し会社は、売り上げが3~4月に集中し、業務の平準化がしにくいという課題があった。アルヒは住宅ローンを提供しているため、お客様がいつどこで引っ越しをするのかが事前にわかる。お客様と引っ越し会社を積極的につなげていきたい」(浜田氏)と戦略を話した。
このほか、住宅ローンを契約したお客様向けに、車のサブスクリプションサービス「おトクにマイカー 定額カルモくん for ARUHI」の用意や、KDDIとの業務提携により、エネルギーサービスと住宅ローンを掛け合わせた新たなサービスの提供を予定するなど、他社との業務提携を積極的に推進。「限りなく可能性があるビジネス領域」(浜田氏)と位置づける。
住み替えカンパニーという新たな目標を定めたことについては、「住宅ローンカンパニーとして運営してきたアルヒは、金融機関や不動産会社に加えお客様など、皆さんにアルヒのプラットフォームを使ってビジネスしていただくことで問題を解決する会社としてやってきた。これはある意味天動説だった。この1年間考えた中で、天動説ではなく太陽中心説にならなくてはいけないと思った。太陽は誰か。それはもちろんお客様。お客様を支えるための存在にするため、ビジネスを再構築しようと思った。今まではある意味、自己中心的だった。これからは完全にお客様にフォーカスしたブランドになる」(浜田氏)と説明。新たな心意気を示した。
同日には、2021年3月期の決算も発表。新規融資実行件数は前年比で-3.6%の2万4369件となったが、営業収益、税引前利益、当期利益はいずれも過去最高を記録。アルヒ 常務執行役員CFOの松本康子氏は「2回あった緊急事態宣言を考えると、まず踏みとどまったというところ。2020年に発表した業績見込みに比べるとすべての数字が見込みよりも上振れしている」とコメントした。
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