2020年度は新型コロナウイルス感染症により、働き方が大きく変化した。このような状況ではあるが、私たちがチームの管理職として以前から行っていた施策が有効に働いたと感じている。
筆者である深澤宏仁と片岡洋一朗は、ゲーム開発を手掛けるバンダイナムコスタジオにて、2018~2020年度にサーバエンジニアチームの管理職を務めていた。当記事では、私たちのチームの状況を改善すべくチームメンバーとともに導入した施策に関して、課題の認識、行った施策、テレワーク開始後の状況、施策の効果について紹介する。
■課題の露呈 「サーバチームの戦力維持が困難に…」
2018年度に、ソーシャルゲームのサーバの開発運用を行うサーバエンジニア9名が所属するチームの管理職となった。その年度で課題として生じてきたのは、業務量に対して人員に余裕がないなかで、サーバチームの戦力を維持するのが難しいという状況にあったこと。キャリア採用でサーバチームの戦力の増強を図ろうとしたが、サーバチームを取り巻く環境が、次のように厳しい状況にあった。
このような状態から、すぐに人員を補充することは難しい状況となっていた。そのため、サーバチームの戦力を維持するために、その時点での所属メンバーにチームに居続けてもらうことが当面の目標となった。
■課題の再認識 「チームの改善可能な点は?」
2018年度当初は、戦力維持のためのチームに対する具体的な施策は何も行っておらず、「チームの状態が最良ではない」という程度の認識を持っているだけ。そこで簡単に状況を確認していくと、私達でも感じていたことだが、チーム内から次のような不満が上がってきた。チームの管理職として目標を達成するためには対策が必要であることを認識していたが、私たちは具体的な知識・手法に関しては何の知識もない状態にあった。そのため、2018年10月頃から、まずは自分たちのチームですぐに実施できる対策を開始するべく、活動を始めた。
■状態の可視化 「wevoxとの出会い」
ソーシャルゲームの開発を行っていたこともあり、KPIという概念に関する知識は持っていた。どのような対策を行うにせよ、まず現状を把握し、問題点を見つけ、そこに対処をするという流れを取る必要があると考えた。
そこで、チームの状況を把握する方法を調べるなかで、エンゲージメントスコアの計測という手法を知るに至った。エンゲージメントスコアとは、組織に対するメンバーの自発的な貢献意欲や、仕事に主体的に取り組んでいる心理状態を数値化したもの。チームの状況を明確にするための定量的な調査の方法として、良いものだと感じた。
弊社でも、労働安全衛生法で実施が義務付けられているストレスチェックが年に一度行われており、結果のうち自チームに関する統計情報は知ることはできた。ただ、年に一度の計測では行った対策の効果を把握するのは難しいと考え、定量的かつ継続的に調査を行えるツールを探し始めた。
調査の結果、wevoxが定量的かつ継続的にエンゲージメントスコアを計測でき、また手軽に導入できることがわかり、さっそくチームに導入した。
wevoxは、ウェブベースのエンゲージメントスコア計測ツールで、以下のような優れた点がある。
チーム9名で毎月計測を実施。複数回実施した後に、wevoxの集計項目としてスコアが低く、対策が必要な項目が次のように浮かび上がってきた。
●主に会社全体で対策が必要な項目
●主にチームで対策が必要な項目
私たちは、まずチームの単位で対応が可能な項目に取り組むこととし、このような項目を改善する方法について調査を開始した。
チームメンバーにも一緒に情報を収集してもらうなかで、組織の心理的安全性という概念を知るに至った。
組織の心理的安全性とは、GoogleのProject Aristotleの調査によって判明した、チームの生産性に影響する因子のなかで、最も重要なものとしている。
調査では、誰がチームのメンバーであるかではなく、チームがどのように協力しているかが、真に重要であるとされている。
●組織の心理的安全性が高い状態は以下のような状態
●組織の心理的安全性が低い状態は以下のような状態
前述のチームの課題は、組織の心理的安全性の低さに原因があるのではないかと感じられた。そこで、組織の心理的安全性の高い状態を目指し、課題を解決していくこととした。ただし、このような取り組みを急に全社組織で展開することは難しいため、まずは私たちのチームの心理的安全性を高めることにした。
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