AppleとFacebookはIT業界で最大規模を誇る企業だが、表面的にはまったく異なるようだ。Appleは、2020会計年度の売上高2745億ドルの大部分を、「iPhone」「iPad」「Mac」「AirPods」ヘッドホンの販売から得ている。Facebookは、売上高859億ドルのほぼすべてをオンラインのターゲット広告から得ており、デバイスの販売は少ない。
しかし、両社が交わる1つの領域、すなわち製品を使用するユーザーのプライバシーをめぐって両社は対立を深めており、幹部らは舌戦を繰り広げている。
Appleは米国時間4月26日、「iPhone」と「iPad」向けに広告業界を揺るがす可能性のあるアップデートをリリースした。「iOS 14.5」「iPadOS 14.5」で、アプリ開発者はAppleの「App Store」やインターネット上でユーザーの行動を追跡するにあたり、明示的にユーザーの許可を得なければならなくなった。このことは、Facebookの事業に深刻な打撃を与える恐れがある。同社の事業はこの10年間、ユーザーが認識しているか否かにかかわらず、まさにそれを行う仕組みとなっているような技術をベースに成り立ってきたからだ。
ポリシーの相違で始まった対立が、シリコンバレーで最大規模ともいえる抗争へと発展している。Appleの最高経営責任者(CEO)Tim Cook氏は、プライバシーは人権だと主張している。FacebookのCEOであるMark Zuckerberg氏は、Appleの要求は中小企業の利益を損ない、インターネットでコストを引き上げることになるとしている。
AppleとFacebookは、26日も互いへの攻撃を続けた。Facebookは、Appleが新たにプライバシーを推進する取り組みの一環で導入した「要求」について、ユーザーに伝える通知のコピーを公開している。Appleは、「App Tracking Transparency(ATT)」機能について説明する動画をYouTubeに公開し、「一部のアプリにトラッカーが組み込まれ、必要以上のデータを収集している」と説明している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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