英政府は現地時間4月19日、国家安全保障などの観点から、NVIDIAによるチップ設計企業Arm(本社:英国ケンブリッジ)の買収に懸念を表明した。Oliver Dowden英デジタル相は、同国の競争監視当局である競争・市場庁(CMA)が、提案されているArmの売却に伴う国家安全保障上の影響を調査すると述べた。
Dowden氏は声明の中で、「Armの買収提案について慎重に考察した結果、国家安全保障上の懸念に基づく公益介入通知(Public Interest Intervention Notice)を19日に発動した」と述べ、「われわれは、繁栄している英国のハイテク業界を支援し、国外からの投資を歓迎したいが、このような取引に伴う国家安全保障上の影響について適切に検討することが妥当だ」とした。
これに対して、NVIDIAの広報担当者は「当社は、この取引が実質的な国家安全保障上の問題をもたらすことはないと考えている」「本件の発表以来そうしてきたように、引き続き英国当局と緊密に協力していく」と述べた。
ソフトバンクグループは2020年9月、チップ業界で過去最高額となる400億ドル(約4兆3000億円)の取引の一環として、傘下のArmをNVIDIAに売却することに合意した。Armは、QualcommやIntelなどの巨大チップ企業ほどの知名度はないが、同社の技術は世界の多くのスマートフォンに搭載されているプロセッサーを支えている。
ソフトバンクグループは2016年に、IoT部門の強化を目的にArmを320億ドル(約3兆5000億円)で買収した。Arm売却に伴う取引の一環として、NVIDIAの株式を取得する予定だ。一方NVIDIAは、Armを傘下に収めることで自社の人工知能(AI)関連の取り組みが強化されることを期待していると述べていた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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