技術的に見れば、「問題の性質は、ITの場合と似ている」。そう話すのは、Moveworksの最高技術責任者(CTO)を務め、共同創業者でもあるVaibhav Nivargi氏だ。「これらの機能を発表する以前から予想していた。人々は、このボットに人事について質問したらどう答えるだろうかと言い出すことを」
一定の労力を要したのは、言語を理解する「コア」の部分を、他の部門それぞれの専門知識に結び付けることだった。
「言語を理解する機能の一部によって、これらの問題は正しく解釈される。それを理解できる多次元の意図解釈システムがあるためだ」、とNivargi氏は話す。
「だが、下流の処理工程になると、問題は極めて固有になる。各部門にそれぞれ独自のチケット処理システム、つまりキューがあるからだ。その部分でアーキテクチャー全体が進化し、言語の理解を土台として、非常に高い精度で各専門分野に対応できるように拡張された」(同氏)
Moveworksは、Hugging FaceによるNLPモデル用の「Transformers」ライブラリーなど、既成のフレームワークを利用している。だが、問いに対する適切な答えを見つけるための“入札システム”で構成されるインフラは自社で開発した。
このインフラは、言語理解の要素だけでなく多くの評価基準を考慮する最適化の手順と結び付いている必要がある。
「機械学習のレベルであれば、適合率、再現性、正解率といった概念も、その適切な指標も分かっている。その次は対話の指標、またその次は解決の指標だ。対話の指標が、必ずすべて解決につながるようにしたい」(Nivargi氏)
そうなると、このアプリケーションの機能を強化することが、最適化のための一種の経済モデルになってくる。「モデルに不足があったか、入札システムに不足があったか、データが不足していたかということを考える」(同氏)
「人々は、結局は機械学習の問題にすぎないと考える」、とShah氏。だが実際には、データの完全性など、多くの要素に関わる無数のタスクが関係しているという。「実際にそれを動かすための周辺的な要因だ」
そうした複雑性に取り組んだ結果、「IT部門がその実験場になってきた」が、新しいタスクには「ごく自然に拡張する」と、Nivargi氏はこの技術について語った。
同社のビジネスに勢いをつけたのは、新型コロナウイルスによるパンデミックだったと、CEOのShah氏は言う。ロックダウンという事態を迎えて、「最高情報責任者(CIO)は、全員の生産性を維持する必要に迫られた。従業員体験というものに、かつてないレベルで焦点が当たっている」という。「従業員体験責任者」などの新しい肩書きのもとでITの役割が広がっているのも、その表れだ。
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