McDonald'sには、新しいテクノロジで顧客体験の改善を目指す大規模な計画があるが、それと並行して、従業員の日常業務を改善し、いわばカウンターの向こう側の小さな食品工場を効率化する取り組みも進めている。
McDonald'sは今から1年前、キオスク端末による注文などのデジタル機能の向上と、同社が「Experience of the Future」と呼ぶ未来型店舗の展開の加速に焦点を当てた長期成長戦略を発表した。最高経営責任者(CEO)のSteve Easterbrook氏の下でMcDonald'sは2017年、全世界での既存店舗売上高を5.5%増やすことに成功した。
米McDonald'sのテクノロジおよびアーキテクチャ担当シニアディレクターのJoel Eagle氏は店頭での顧客体験を担当しているわけではないが、同氏のグループはそれに貢献している。「社内での顧客体験」、つまり従業員の体験を改善するために、Eagle氏が人工知能(AI)や機械学習、クラウドコンピューティングに目を向けることがますます多くなっている。
Eagle氏は、「われわれが目指しているのは、問題解決にかかる時間を短縮して、システム内の経由点を減らすことだ」と説明する。全体としては、Eagle氏はキッチンでのダウンタイムを短縮して、インフラをより高速に修復する手段として、ボットエージェントと自然言語に目を向けている。
McDonald'sは企業にAIプラットフォームを提供するAstoundのような比較的小規模のベンダーも利用している。Astoundのシステムは、人工知能と直観的なインターフェースを通して、ユーザーがサポートを依頼したり問題を解決したりする方法を合理化する。Astoundはサービスの管理を自動化することを目指しており、さまざまなシステムにAIの機能を供給するほか、洞察も提供する。簡単に言うと、Astoundは大規模な機械学習モデルを管理している。
従業員の体験を改善するバックエンドプロセスを向上させる上で、小規模なテクノロジ企業はますます重要な存在になっている。例えば、T-Mobileは従業員のシステム操作を支援するWalkMeのサービスを利用している。複数の企業が、マイクロアプリケーションのプラットフォームを提供するSaphoなどのサービスを利用して、企業内の記録システムを連携させ、現代的でモバイルフレンドリーなUIを提供している。Astoundもそうした小規模テクノロジ企業の1つだ。
Eagle氏は、ServiceNowが数年前に開催したイベント「Knowledge Conference」でAstoundに注目した。同氏によると、小規模ベンダーは主要顧客のためにプロジェクトを成功に導くべく、時間とエネルギーを全力で投資するため、小規模ベンダーと協業することにはさまざまな利点があるという。Eagle氏が具体的に求めていたのは、「ITIL用語」(ITILはITサービスの管理/運用のガイドライン)を使わずに問題を迅速に解決できるテクノロジだ。
Eagle氏は、「McDonald'sでは、一気に大金を費やすことはしない。われわれは少額の賭けをたくさん行った後で、倍賭けする」と説明した。
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