4月2日、ホノルルに向けて出発するJL074便における実証実験の様子が公開された。まず、羽田空港第3ターミナルにある、東邦大学羽田空港第3ターミナルクリニック(ハワイ州の指定医療機関)で検査を受け、アプリにPCR検査結果を連携し、空港チェックインカウンターで証明を確認をする流れだ。
JL074便ではJALの社員1名のみだが、JL711便では関係者ら数名が実証実験に参加する予定。一般からも広く募集したい意向はあるものの、刻々と渡航先の受け入れ用件などが変わる可能性がある。また、日本における新型コロナの水際対策として、入国者が現状では週間3400人と規制されていることもあり、難しいようだ。「水際対策が緩和されれば、こうした実証実験で一般から募集してトライアルしたい」(日本航空 カスタマー・エクスペリエンス本部 CX企画推進部 部長の中村智氏)
なお、東邦大学羽田空港第3ターミナルクリニックにおけるPCR検査は、検査終了後から最短で2時間、再検を要した時など最長4時間で検査結果が判明するという。通常の費用は検査料・証明書発行料を含み、3万8500円(税込)だが、実証実験では無料。ハワイ州では、出発72時間以内に検査した新型コロナウィルス感染症の陰性証明書が必要だ。その日に数時間で結果は出るものの、実証実験では前日に検査を済ませている。
チェックイン時は画面を見せ、非接触でPCRの結果が陰性であることを確認する。また、JL074便はハワイ到着後の検疫検査を出発時に済ませる「プリクリアランス(事前検疫審査)」と組み合わせて実施した。
今後は、4月下旬をめどに、JALが運航する日本=北米の一部路線にて、VeriFLYを利用した搭乗手続きをより開始予定だ。VeriFLYは、生体認証技術による本人認証のサービスを展開している米国のDaonが開発したアプリ。米国の一部路線では既に導入されており、客は検査結果などの登録や渡航先の入国要件に合わせた準備書類などの確認を、事前に参照・入力・管理できる。登録した情報に基づく渡航資格をアプリ画面に表示させ、チェックインカウンターにて提示することで、搭乗手続きをスムーズに進められるという。
さらに、5月下旬より一部路線で、IATAトラベルパスの実験を開始する。IATAトラベルパスは、IATA(国際航空運送協会)が推進。医療機関から検査結果などを受領するしくみと、結果を踏まえて入国要件を満たしているかの検証ができるようになるという。なお、世界23社の航空会社が実用化に向けた取り組みに参加しており、JALもすでに3月15日よりIATAトラベルパスの試験導入プロジェクトに参画している。
今回取り組みを開始する3つのアプリのうち、コモンパスとIATAトラベルパスは、安全な情報管理と世界共通の規格となることを目指しており、将来世界中のさまざまな空港で利用できる可能性があるという。また、VeriFLYは、米国の一部の路線で既に実用化されていることから、安全な情報管理に加えて早期導入が可能としている。
デジタル証明は、コモンパス、VeriFLY、IATAトラベルパス以外にも複数あり、「国によって複数対応していかないとならない可能性もある」(中村氏)という。
たとえば、「いま中国は、個別のデジタル証明を要求されている。ハワイも『セーフトラベルズプログラム(Safe Travels Program)』に登録しなければならず、各国個別の入国検疫要件がある。複数のデジタル証明を検証することで、どこまで対応できるか見ていく。たとえば、先方からコモンパスがいいと言われたときに、トラベルパスも同じ機能がありますよ、と言えるかどうか。求められるものがわれわれの持っているアプリでどれだけ提供できるのかという準備はしておく必要がある」(中村氏)と説明する。
JALでは、それぞれ特徴をもつデジタル証明書アプリと連携を進めることで、ニーズに応えながら、安全・安心でスムーズな渡航の実現に向けて取り組んでいくとしている。
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