非対面、非接触のニーズが高まる中、日本航空(JAL)とパナソニック システムソリューションズ ジャパンは、新たなおもてなしの形となる「アバター式リモート案内サービス」の実証実験を開始した。離れた場所にいる係員がディスプレイ上のアバターを通し、出発ロビーや搭乗口で利用者を案内し、誘導する。
アバター式リモート案内サービスは、カメラ、スピーカー、ディスプレイを一体化したアバターを、遠隔にいる係員が操作するというもの。9月14~25日の間、羽田空港第1旅客ターミナルビル内JAL国内線搭乗口の一部、航空券予約・購入・変更カウンターにて実証実験を実施している。
アバターによるリモート案内サービスは、業務効率化や働き方改革を目的に2月に構想をスタート。しかし新型コロナウイルス感染拡大により、実証実験においては非対面、非接触でのお客様対応という側面も強くなったという。
アバターでは、有人での「リモート対話」と、チャットボットによる「AI対話」の2つのコミュニケーション方法がとれるが、今回はリモート対話機能に特化。係員が遠隔でマイクに向かって話した言葉がアバターのスピーカーから流され、搭乗口や航空券予約カウンターなどにいる利用者と対話ができる。
ディスプレイ上にはアニメ化されたキャラクターが登場し、声をそのまま伝えるほか、左右を手の動作を加えて案内するほか「礼をする」「ほほえむ」などの動作も可能。各種動作は「お願いする」「おどろく」「感謝する」など7種類を用意し、係員の操作にアバターが連動。口の動きなどは係員の動作に合わせているほか、左右の首振りなども連動する。
アバターにキャラクターを使用した理由は「制服を着用やメイクをする手間を省くため。将来的には在宅勤務での活用も見据えている」(JAL)とする。カメラは周囲の状況も捉えられる画角に設定しているため、混雑状況なども把握できる。
搭乗口付近では、搭乗案内をするほか、アバターの前から問いかけることでバスの時間を教える、シートの案内をするといったことにも対応。航空券予約・購入・変更カウンターでは、ベビーカーの貸し出し方法などもアナウンスしていた。カメラがついているため、チケットを見せながら会話することも可能だ。
実証期間は9月14~25日と短いが、シルバーウィークに当てるなど、人が最も多く利用する期間を選んだとのこと。4台のアバター式リモート案内サービスが稼働する予定だ。
JALではアバター式リモート案内サービス以外にも、自動チェックイン機の非接触化に向けたトライアルなど、withコロナ時代の環境作りを推進している。8月24日から9月15日までには、トライアルとして、画面に直接触れることなく操作ができる自動チェックイン機を導入。タッチレスセンサから出る赤外線により、画面から3㎝ほど離れた空中で指を動かすことで自動チェックイン機を操作できる。
羽田空港国内線第1旅客ターミナル南ウィング2階の18番カウンターに2台を設置。三菱電機インフォメーションシステムズと沖電気工業の共同開発で、通常の自動チェックイン機と同様のスマートな見た目を実現している。
あわせて無光触媒「エコキメラ」をカウンターなどに噴霧することで、抗菌、抗ウイルスコーティングなども実施。一度コーティングすると3~5年は効果があり、9~10月にかけて、カウンターや機械などに噴霧していく計画。今後は国内の主要空港への展開も検討しているという。
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