Microsoftは、「Microsoft Teams」で人工知能(AI)を活用したライブトランスクリプト(ライブ文字起こし)機能をロールアウトしている。英語(米国)で利用可能になっている。「Zoom」は既に、最近のアップデートで類似のクローズドキャプション(字幕)機能を提供している。
ビデオ会議市場では、ライブトランスクリプト機能をめぐって激しい争いが続いている。Cisco Systemsは2020年12月に「Cisco Webex」でのクローズドキャプションサービス提供を発表しており、Zoom Video Communicationsは2021年2月にライブキャプション機能を無料アカウントでも(限定的なかたちで)利用可能にした。Googleは数日前に「Google Chrome」ブラウザーでライブキャプション機能の提供を開始している。そして今回、MicrosoftがTeamsでライブトランスクリプト機能の提供を開始した。
Teamsのライブトランスクリプト機能では、発言者を特定して、発言内容を「ほぼリアルタイムで」捕捉し、会議中と会議後に確認できるようになっている。
Teamsミーティング向けの対話型AIなどインテリジェンス機能の責任者Shalendra Chhabra氏は、「高い精度のライブトランスクリプト機能を最小限のレイテンシーと優れたコスト効率を実現しつつ、エンタープライズスケールで提供することは、業界で最も難しい挑戦の1つとなっている」と説明している。
「過去2年にわたってわれわれはこの問題の解決に向けた大きな進歩を遂げ、ミーティングというコンテキストをリアルタイムで駆使するとともに、最先端のAI技術を活用することで、われわれのモデルの精度を劇的に向上させてきた」(Chhabra氏)
Teamsのライブトランスクリプト機能は、会議への招待、参加者の名前、添付ファイルなどを使用することで、人が関与することなく、それぞれのトランスクリプトで会議中に使用される特定の言葉遣いを認識して精度を上げ、音声の文字起こしをするようになっている。
トランスクリプトは、Teamsのデスクトップアプリの右側カラムに、各参加者のアバターと関連付けられたかたちで表示される。
トランスクリプトのファイルはミーティング主催者の「Exchange Online」アカウントに保存される。また、トランスクリプトファイルの削除権限は、主催者とテナントの管理者のみに与えられる。
Chhabra氏は、ライブトランスクリプトサービスを利用して実施された、社外秘の会議の内容をMicrosoftの従業員が盗み見することはできないと保証している。同氏は、Microsoftの従業員がミーティングのコンテンツを閲覧することなどできないとした上で、言語認識モデルはミーティングの終了と同時に削除されるため、AIの精度を向上させるためにそのミーティングにおけるデータが使用されることもないと説明している。
会議の後、保存されたトランスクリプトはデスクトップ版とウェブ版のTeamsで参照、ダウンロードできる。トランスクリプトはTeamsのカレンダーで会議のイベント、またはチャットのトランスクリプトのタイルから利用できる。
この機能は主にMicrosoftのエンタープライズ顧客を対象としたものであり、利用できるのは「Microsoft 365 E3」「Microsoft 365 E5」「Microsoft 365 Business Standard」「Microsoft 365 Business Premium」のライセンスを有した顧客のみとなっている。また、Teamsのインスタントミーティング機能である「Meet Now」にも「近々」搭載される。
理論的には無料アカウントのTeamsユーザーも、Chromeブラウザーを利用すれば今まで通りTeamsでもライブのクローズドキャプション機能を利用することができる。しかし、エンタープライズ向けのTeamsとは異なり、Chromeは会議終了後に議事録となる、会議後に確認できるトランスクリプトを作成してくれない。それでも、Chromeであれば、ソーシャルメディアや動画サイト、ポッドキャスト、ネットラジオのコンテンツだけでなく、ローカル環境に保存された音声ファイルや動画ファイルのキャプションを作成できる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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