NTT Comの新規事業創出社内コンテスト「DigiCom」の成果--上位3チームと事務局が登壇 - (page 2)

上位3チームが語った「会社に期待すること」

 講演に続き、モデレーターを務めたCNET Japan編集長の藤井と登壇者4名が対談した。まず、DigiComとの連携を強化したという、社内新規事業創出支援プログラム「BI Challenge」の概要を事務局の斉藤氏が説明した。

 BI Challengeでは、事業化までの道のりを5つのステージに分けているという。その区切りごとにステージアップ審査を実施し、アイデアをブラッシュアップしながら事業化を進めていくというスタイルだ。斉藤氏は「通年でエントリーが可能だが、その入り口の1つとしてDigiComを位置付けた」と説明する。

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DigiComとBI Challengeの位置づけ

 BI Challengeでは、ヒト・モノ・カネのサポート、社外有識者によるメンタリング、ビジネスパートナーのマッチング、開発ツールの提供など、アイデアの成熟度に応じて、さまざまな支援を提供しているが、DigiCom参加者にも、このステージ1と2で提供している教育プログラムを提供したという。「日常である支援制度と、非日常のイベントを組み合わせて、新規事業創出をさらに加速したい」(斉藤氏)

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BI Challengeのサポート内容

 続いてモデレーターの藤井が入賞チームの3名に対して、「今後、会社にはどのようなことを期待するか」を質問。さらに、3名の回答に対して事務局からのコメントも斉藤氏に求め、新規事業創出を加速させるために必要な仕掛けについて、深く掘り下げていった。

井上氏:失敗をさらに許容していただけるとありがたいです。ベンチャー投資では打率1割あればよい方なので、会社のプロジェクトとはまた違うけれども、失敗を許容することで挑戦が増えるような環境を、もっと盛り上げていただければというところに期待しています。

宮岸氏:井上さんのコメントと似ているところがありますが、変化に寛容であることをお願いしたいです。今回のDigiComもコロナ禍だからと中止にせず、形を変えて実施いただきましたが、今後も変化を恐れず環境に適応していくことを期待していますし、私たちもそれに答えられるように動いていきたいと思います。また、DigiComでの教育プログラムのように社内の人材を育てる試みや、いま技術顧問を置いていただいているように外部から人材をとってくるなど、人に投資することは、ぜひ続けていただきたいです。

岸本氏:社内に新しいアイデアを持っている人は大勢います。ただ、機会がなければ表現できないですし、コンテストに出ることでアイデアがブラッシュアップされてくる部分も大きいと思うので、引き続きそういう機会や挑戦する人たちをサポートする仕組みを作ってもらえればと思います。

斉藤氏:3人が言ってくれたことは、私たちが次年度、そして今後に向けても、頑張らないといけないところだと思っています。新規事業創出に賛同してくれる人は大勢いますが、自ら飛び込んでやっていく、自分が支援するところに到る、という人はまだまだ少数です。もっと多くの人を巻き込んでいきたいと思うし、DigiCom経験者から将来の新事業を創出する社長をどんどん生み出すことができれば、世の中がどんどん変わっていくのではないかと思っています。

社内ビジコンを“軌道に乗せる”ためのコツは?

 セッション後半のQ&Aでは、視聴者からもDigiComに関するノウハウや、新規事業創出の取り組みを盛り上げる工夫について、斉藤氏にさまざまな質問が寄せられた。そのなかからいくつか抜粋して紹介する。

——毎年数百名が参加するそうですが、どのように社内で周知されたのでしょうか。

 社員全員が閲覧できるポータルサイトで告知しました。その前に、幹部会議などでDigiComをやることを宣言し、協力をお願いしておきました。また、組織ごとの総括ポジションにいる方に個別にお願いして、組織内での周知をお手伝いいただきました。

——2020年度は新型コロナウィルスの影響などもあったと思いますが、ワークショップはどのように実施したのでしょうか。

 すべてオンラインで実施しました。社内ツールとして使っているMicrosoft Teamsで、ワークショップも開催しました。

——まだ事業化に至っていないと判断されるのはなぜでしょうか。

 われわれが目指しているのは「次の事業の柱となる」ものです。単体で事業として成立しているかというと、まだまだという認識です。

——DigiComの告知や応募、活動、表彰など、年間スケジュールを教えていただきたいです。

 GW前に募集開始し、5月いっぱいで締め切り、6〜7月で事業アイデアに落とし込み、7月末に予選会を実施しました。そこで審査を行い、次のステージに進むチームを選抜して、11月の本選まではユーザーインタビューを実施したりして、事業の需要性や解像度を上げる取り組みをしていただきました。

——運営事務局は何人くらいなのでしょうか。メンター的な役割も担ってますか。

 BI ChallengeとDigiComで総勢8名です。自らも新規事業創出に携わりながら、社内の新規事業創出支援の活動もしていることが特徴です。メンタリングについては、外部の有識者の方々と協力して、私たちではできないサポートもかなりしていただいています。

——自社でもこういうコンテストは時々開かれたり、支援金を出す制度を設けたりしますが、いつも盛り上がらずに消滅しています。軌道に乗せるためには、どういったことがポイントでしょうか。

 初回のコンテストでは参加賞も含めて、社長から参加者全員を表彰してもらいました。ボトムアップだけ、トップダウンだけという構造では想いは強くとも続かないことがあるので、両方を組み合わせていくことが重要です。また、組織ごとに性質も異なるため、各組織にあった周知の仕方や、連携の仕方を模索したり、進捗などもしっかりと報告することで“気にかけてもらえる存在になっていること”がポイントなのかなと思っています。

——これだけの数の参加者を管理されるのは大変だと思いますが、進捗確認のツールなどは利用しているのでしょうか。

 SlackやTrelloなどいろいろ駆使していますが、入力する手間とかを考えると、ピッタリくるツールがなくて、実は最終的には記憶です。ここだけアナログですみません(笑)。

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——新規事業に携わっていると、どうしても社内で異端視扱いされてしまいがちですが、解消へのアドバイスなどありますか。

 このご質問を見て、「もしかするとDigiComは異端児が集まっているのかもしれない」とも思ったのですが、やはり活動をしっかり社内で周知し、「こういう取り組みはよいことで、価値があることだ」と、どんどん伝えていくことが大事なのではないでしょうか。

——(モデレーターの藤井より)このカンファレンスの共通質問である「あなたにとって常識の再定義とは?」

 常識と非常識は対になっているものではなく、グラデーションみたいで混じっていて、しかもそれが浮遊していて、ある時はこれが常識、またある時はこれが非常識というように、潮目が変わっていくものなのかなと思っています。私がいま、風に関する新規事業に関わっていることもあって、風を読むような感覚なのかなと。風を読むには、テクノロジーだけじゃなく、経験、俯瞰する力、直感など、いろいろ組み合わせることが必要なので、1人じゃできません。やはり、コミュニケーションが大事。いろいろな立場の方とのコミュニケーションを通じて、新しい常識を見つけていきたいですし、それをDigiComでやっていきたいと思っています。

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