パナソニックのデザインセンターにおいて、先行開発に特化して活動するデザインスタジオ「FUTURE LIFE FACTORY」が、その成果を「DIG UP! あなたと考えるプロトタイプ展」として披露している。デザインの視点からうみだされた4つの新しいプロジェクトが並ぶ。
今回のプロトタイプ展は、今の「新しい生活様式」の先にあるこれからの豊かさを見出すため、いまこそ、人間本来の力を取り戻し、より人間らしい生き方を見出したいという考えのもと「DIG UP(発掘)」をテーマとして選出。展示しているのは、以下の4つ。いずれも社会課題を起点にしたプロジェクトになる。
じぶんらしい個“性”をはぐくむ
大切な誰かに届けたいみんなのモノづくりを応援する活動を続けるD+IOは、身の回りにある素材を使って作れるプロダクトのレシピを2020年から提供している。2020年9月時点で公開されていた2つのレシピに、現在は「簡易メッセージングデバイス EasyHOTLINE」「スマートオーナメント SmartOrnament」「クロスモーダルエアコンスピーカー」「電子カスタム家具」などを追加。
EasyHOTLINEは、ユーザーから寄せられた声をもとに、定型文をスマホに送れる簡易メッセージングデバイス。冷房時は風鈴、暖房時は暖炉の音などを流すことで、体感温度をコントロールし、設定温度を少しでも緩めることを目的に作成されたクロスモーダルエアコンスピーカーは、パナソニックのエアコンを手掛けるチームとともに開発するなど、新たな連携の動きも広がっているという。
ウイルスや菌に敏感になり、しきりに手の殺菌消毒が求められている昨今だが、多様な微生物とのかかわりが薄れると、免疫力が弱まるなど、人間の健康面、精神面にも影響が出てくるとのこと。人間に恩恵をもたらす微生物とどう関わったらよいのかをテーマに、Second Natureでは、微生物を求めて渋谷のさまざまな場所を探し回るワークショップを開催したり、微生物のいるインテリアデザインを考えたりしている。
観葉植物の新たな形として提案している「テラフォームプランター」は、多様な草木とその根、バクテリア、菌類、そして土壌の間につながりを形成することで、土壌に生息するバクテリアや菌類も増殖するプランター。種類の異なる植物の、水の管理ができるモジュール式栽培システム「モジュール式栽培システム」と組み合わせることで、人間に良い微生物との共生を実現するという。
「時間軸を自分軸にかえる『はたらいきかた』改革」として、「暮らす」「働く」「それ以外の時間= 3rd TIME」を考える3rd TIMEでは、バケーションと仕事を組み合わせたワーケーションではなく、近くの公園や河原など身近な場所で働く「マイクロワーケーション」を提案する。
マイクロワーケーションの情報共有ができる「POST WORK」アプリや、椅子になるカバンという発想から生まれた「TOTE CHAIR BAG」など、マイクロワーケーション時に「ほしい」と思われるようなサービスや商品を生み出している。中でも、音声入力デバイスの「OTODENWA」は、話し声を消音しながらオンラインで音声を届けられる音声入力デバイス。オンライン会議が増える中、自宅やオフィスでも活用したい会議用のマイクだ。
一人ひとり異なる「生」と「性」に向き合ったプロジェクト。「幼児期」「思春期」「成人期」と成長に応じて、生と性を学ぶプロダクトや取り組みを提案する。仕掛け絵本「YOUR NORMAL ゆあ のーまる きみを かんがえる ほん」では、からだの部位の名称から、いろんな格好の人がいていいということを学べるもの。ブラックライトを活用して絵本の中に隠された文字や絵を探しながら読めたり、きせかえをすると音声でほめてくれたりと、楽しく学べる仕掛けが隠されている。
女性向けのアプローチがされている「パナソニック ビューティ」の美容家電も、性別に限らず使うシーンを提案する展示がされるなど、新たな発見にもつながる。
DIG UP! あなたと考えるプロトタイプ展は3月25日まで、東京都中央区の「東急プラザ 銀座」7階にある「NewStore by TOKYU HAND」にて開催しており、開催時間は11~20時。D+IO×トラフ建築設計事務所による「CO2換気アラートデバイス制作ワークショップ」や「Your Normal×命育『幼児向け性教育絵本ワークショップ』」なども開催される。
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