Googleは米国時間3月3日、個人のウェブサイト閲覧履歴に基づいて表示する広告の販売を停止する計画について説明した。消費者がオンライン上のプライバシーを求める中で、この計画はデジタル広告業界を震撼させる可能性がありそうだ。
Googleは、サードパーティークッキーを2022年までに段階的に廃止していくことを2020年に明らかにしていた。サードパーティークッキーとは、ユーザーのウェブ閲覧履歴を広告主が追跡できるようにする小さなコードのこと。Googleは今回、「Chrome」ブラウザーでのサードパーティークッキー廃止後に、代替となるユーザー追跡技術を開発したり利用したりすることはないと明言した。
「プライバシーや個人情報の使われ方について人々の懸念が高まる中、デジタル広告がその状況に応じて進化しなければ、われわれは自由でオープンなウェブの未来を危機にさらすことになる」と、Googleで広告のプライバシーと信頼を担当する製品マネージャーを務めるDavid Temkin氏は3日のブログ記事で述べた。
今回の発表は、Googleの検索およびターゲティング広告事業に対して、連邦や州の議員や検察から批判の声が高まる中で出されたもの。Googleは、米司法省による訴訟や、複数の州の司法長官による訴訟など、反トラスト法違反に関する大型訴訟を3件抱えている。
Googleは以前から「プライバシーサンドボックス」を推進してきており、3日の発表もこの取り組みの一部だ。プライバシーサンドボックスでは、ユーザーのプライバシーを侵害せずに、各人の興味に基づいたターゲティング広告をパブリッシャーが自サイトやアプリに表示できるように設計されている。これに関して、Googleは人工知能(AI)関連の画期的な手法である「Federated Learning」(フェデレーションラーニング)などをアピールしている。このやり方では、個々のユーザーの端末にある未加工データを使って機械学習を行うものの、データ自体はクラウド側に転送されないため、Googleでは実際に情報を見ずに、その情報を学習に利用することができる。
広告技術業界の中には、サードパーティークッキーに代わって、ユーザーの電子メールアドレスを利用するものなど、よりきめ細かく個人を追跡できる他のソフトウェアを利用することを計画している企業もある。だが、Googleが代替となる追跡技術を利用しないと宣言したことで、そうした企業にも影響が及ぶことはほぼ間違いない。
ただし、Googleが「Gmail」、「YouTube」、Chromeなどの自社サービス経由でユーザーデータを直接収集する「ファーストパーティー」は今回の発表の対象外だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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