Facebookが顔認識技術をめぐってイリノイ州で提訴されていた件で、James Donato判事は米国時間2月26日、和解案を承認した。和解の条件は、Facebookが許可を得ずに生体認証情報を生成し保存したとされるユーザーに対し、6億5000万ドル(約690億円)を支払うというもので、同判事によるとプライバシー関連訴訟で最大級の和解金額になるという。
この集団訴訟は2015年に提起され、「Tag Suggestions」(タグ付けの提案)機能でFacebookが使用する顔認識技術が争点となった。ユーザーはこの機能により、Facebookにアップロードした写真に友人をタグ付けし、友人のプロフィールへリンクを作成することができる。
Tag Suggestionsは、過去にアップロードされた画像をスキャンして得た顔認識データを利用し、新たにアップロードされた画像の人物を特定することにより、タグ付けの提案を自動生成する仕組みだ。原告側は、そうした顔認識データがユーザーの同意なく作成され、イリノイ州の生体認証情報プライバシー法(Biometric Information Privacy Act:BIPA)に違反していると主張していた。BIPAは、同州で個人の同意なく顔認識や指紋認証などの生体認証技術を利用することを規制している。
この訴訟を提起したJay Edelson弁護士は2020年1月、「生体認証は、位置情報と並び、次世代のプライバシー権を定義する2つの主要な争点の1つだ」と述べていた。Facebookは当時、5億5000万ドル(約590億円)での和解を提案した。しかし7月、Donato判事は金額が十分ではないとの見解を示した。
Donato判事は和解条件を承認した2月26日、この最終的な和解が「賠償の対象となる集団訴訟の各原告に少なくとも345ドル(約3万6700円)をもたらす」と述べた。「どのような尺度でも、6億5000万ドルでの和解は(中略)画期的な結果だ。プライバシー違反としては最大級の和解の1つとなる」
Facebookは27日、「和解に達したことは喜ばしい。この件を過去のものにでき、それがわれわれのコミュニティーと株主の最善の利益になる」と述べた。
BIPAの影響を受けた会社は他にもある。ソニーの犬型ロボット「Aibo」は鼻にあたる部分にカメラを搭載し、顔認識技術を備えている。これにより周囲の人々を見分け、相手によって反応を変えることができるが、この機能が原因で同社はイリノイ州ではAiboを販売していない。また2020年には、同州の2人の子供が父親を通してGoogleを提訴し、Googleが学校向けのソフトウェアを利用して数百万人もの学生の顔の情報を収集したと主張した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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