パナソニックは2月17日、LPWA通信機能を備えた家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」を発表した。気象データを取得し、停電に備えた発電モードに切り替わるなど、レジリエンス機能を向上している。戸建住宅向けモデルになり、発売は4月1日。
新製品は、無線のLPWA通信を採用することでネットワーク接続率を引き上げ、より安心安全な暮らしのサポートを目指して商品化。広域、遠距離通信に優れるLPWAを標準装備することで、保守点検作業を効率化できるほか、稼働状況のリアルタイム把握が可能になったという。
エネファームは、都市ガス、LPガスを燃料に、自宅で発電できるシステム。ガスから取り出した水素と空気中の酸素を反応させて発電すると同時に、化学反応で発生する熱でお湯を作れる。ここ数年、台風や豪雨などによる自然災害が頻発する中、ライフライン遮断のうち約9割を停電が占めるが、ガス供給によるトラブルは2%程度にとどまっており、もしもの時の備えとしても注目されている。
パナソニック アプライアンス社 スマートエネルギーシステム事業部事業部長の寺崎温尚氏は「近年、自然災害の多発と激甚化は年々厳しくなってきている。そのためにもレジリエンスは常時やらなくてはいけない。新製品では、ウェザーニューズと東京ガスから支援とノウハウをいただき、それをエネファームに込めることができた」と開発の背景を話した。
災害時の備えとして期待されるのが、待機モード「停電そなえ発電」の採用だ。これは、ウェザーニューズが提供する「WxTech(ウェザーテック)」サービスの「停電リスク予測API」を受信すると、停電発電にそなえた待機モードに自動的に切り替わるというもの。実際に停電が発生した場合は停電発電を継続し、停電が発生しなかった場合には通常運転に戻る。
また、ガス供給が遮断した際は、毎日1回、浴槽にためて入浴できる量のお湯を賄うヒーター給湯機能を新搭載。ガス供給の遮断を検知すると、台所のコントローラーにエラーメッセージが表示され、手動でヒーター給湯に切り替えれば、貯湯タンクが空の状態でも約19時間後には40度で約230リットルのお湯が使える。
販売を担う東京ガスは、2021年1月時点で14万台のエネファーム販売を達成。発売から11年が経ち、今後は買い替え市場の拡大を見据える。東京ガス 暮らしソリューション技術部部長の高世厚史氏は「エネファームの新製品は、停電時でも電気と給湯、床暖房の利用が可能。蓄電池との相性も良く、組み合わせによってさらに効果が見込める。新しい市場として大きくしていきたい」とコメントした。
パナソニックでは、2021年に純水素燃料電池の販売も予定しているという。
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