パナソニックは、米国東部時間の1月11日午前10時から、オンラインイベント「CES 2021」において、プレスカンファレンスを行い、初のボックススタイルとなるデジタル一眼ミラーレスカメラ「LUMIX BGH1」や、有機ELテレビ「J-Z2000 4K OLED」、マルチオーブン「HomeCHEF 4-in-1」などの新製品を発表するとともに、モビリティ事業やエネルギー事業、アビオニクス事業の取り組みなどについて説明した。なお、今回のプレスカンファレンスでは、「TECHNOLOGIES THAT MOVE US(TTMU、私たちを動かすテクノロジー)」をテーマに掲げた。
プレスカンファレンスの冒頭、Panasonic Corporation of North AmericaのChief Marketing OfficerであるLauren Sallata氏は、東京オリンピックが延期になったことについて触れ、「パナソニックは、30年以上も前からオリンピックのパートナーとしてサポートしてきた。延期というオリンピック史上初の出来事が起こったが、都市やアスリート、そしてパナソニックのようなパートナー企業は、この夏に開催されるオリンピック/パラリンピックに大きな期待を寄せている。また、パナソニックは、2017年から国際オリンピック委員会のヤングリーダーズの支援を行い、世界中の若者が、それぞれの地域社会で、草の根スポーツプロジェクトを立ち上げることを支援してきた。また、チームパナソニックの活動により、世界中の26万人のパナソニックグループの従業員とともに、社会に貢献することを目指している。パナソニックは、回復力、スピリット、適応力が強みであり、常に前進している。100年以上前から、困難な状況を特別な機会に変え、より良い生活とより良い世界に向けて、前進させる技術を創造してきた。それはこれからも同じである」などと述べた。
ここでは、国際オリンピック委員会(IOC)のThomas Bach会長のビデオメッセージを紹介。「オリンピックの友人の皆さん。2021年という特別なオリンピックイヤーが始まる。人類統一の真の祭典であるオリンピックにぜひ参加してほしい。延期されたオリンピックである東京2020は、私たちの多様性のすべてである。7月に東京で会いましょう。私たちもいまから待ちきれません」とコメントした。
また、チームパナソニックのキャプテンを務める水泳のMichael Phelps選手が、財団を通じた慈善活動を継続的に実施しているほか、自身のメンタルヘルスについて語り、メンタルヘルスとオリンピック選手をテーマにした映画「The Weight of Gold」の共同プロデューサーとして、多くの人を支援してきたこと、同じくチームパナソニックのメンバーである、歴代最多の金メダルを獲得している女子競泳選手のKatie Ledecky氏が、2021年4月から、パナソニックとのパートナーシップによって、東京・有明のパナソニックセンター東京で、STEAM分野のアンバサダーを務めること、東京オリンピックに空手の型で、米国代表として出場する國米櫻選手が、無料のバーチャル空手レッスンを提供したこと、盲目のパラリンピック走り幅跳び選手であるLex Gillette選手が、パナソニックと協力して、最も支援を必要としている人々や地域社会に、メッセージを広めていることなどを紹介した。
続いて登場したPanasonic Corporation of North America CEOのMichael Moskowitz氏は、「個人として、そして会社として、私たちは前進し続け、適応し続けている。100年以上前に、創業者である松下幸之助が、大阪で数え切れないほどのイノベーションを開発して以来、これがパナソニックのDNAの一部となっている。イノベーションの可能性はどこにでもあると信じている。その信念が、『A Better Life,A Better World』を実現するために数々の技術を創造し、前進し続けていることにつながっている」と切り出した。
Moskowitz CEOは、「この1年で、特定の用途に向けて作られた製品やソリューションが、現在の環境や健康問題などに対応するために再構築された」とし、アビオニクス事業においては、新たに立ち上げた「Welcome Aboard Collection」に、細菌やウイルス、悪臭を抑制する効果があるナノイーXテクノロジーを搭載したnanoe空気清浄モジュールが含まれ、自動車やホテル、家庭、電車、エレベーターなどで、清潔で新鮮な室内空気を生み出していることを紹介。「世界中の人々の健康な環境づくりに向けて、この技術の可能性を追求していきたい」とした。
外食産業と食品小売業向けには、ハスマンのスマートロッカーが、注文した食品を、非接触で受け取ることができる用途に活用。ホット用と常温用が用意されたロッカーは、コードを入力するか、QRコードをスキャンすれば、扉を開けて取り出すことができる。クイックサービスのレストランだけではなく、大学内や企業内のカフェテリアなどでも利用できるとしている。
そのほか、パナソニックでは、クイックサービスレストラン向けのClearConnectソリューションを提供したり、パナソニック傘下のHussmannのShop the Futurecollectionが、全米で約500社の食品小売企業に導入されていること、業務用冷凍機の遠隔監視と予兆診断が行えるStoreConnectや、買い物時間を短縮し、買い物客の体験を向上させるAperionの提供を開始していることも紹介した。
また、世界最大の電池工場を持つリチウムイオンのサプライヤーであるパナソニックは、2020年8月までに、30億個以上のセルを出荷。ネバダ州のギガファクトリーでは、テスラ向けのEVバッテリーの需要を満たすため、2021年中に14番目のセル組立ラインを追加し、生産能力を10%増加させることなどを示す一方、エネルギー企業であるEquinorと、産業グループであるHydroとの戦略的パートナーシップにより、持続的でコスト競争力のある欧州の電池事業の可能性を探っていること、レッドウッド・マテリアルズとのパートナーシップにより、リチウムイオンのサプライチェーンの持続可能性を高めること、テスラ向けの新たな電池である4680は、エネルギー密度を高めた新たなセルモデルであり、導入時には世界最高のエネルギー密度を持つ車載用バッテリーとなることなどを示した。
パナソニックのカメラやプロジェクターの活用では、カナダのトロントで、車に乗ったままゴッホの絵を鑑賞したり、大型のプロジェクションアニメーションにより、車から安全にアート作品を見ることができる例を示したほか、多くの教育機関でバーチャル教室やハイブリッド教室に移行するために、カメラやプロジェクターを使用し、2020年秋にはペッパーダイン大学で、160以上の教室で完全な遠隔学習環境の構築を行った例を紹介した。
Moskowitz CEOは、「パナソニックは、新たにIlluminarium Experiencesのオフィシャルテクノロジーパートナーになったことを発表する。パナソニックの4Kプロジェクターとプロ用ディスプレイ、カメラによって、360度の没入型エンターテインメントセンターを実現し、観客に感動と感動を与えることができる。このために、オフセットと光の損失を最小限に抑えた超短焦点レンズを共同で開発した」と発表した。
最初のイルミナリウムは米アトランタにオープン。3万平方フィートの広さで、「WILD:A Safari Experience」に活用するという。
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