ドローン業界で“新産業”の共創に向けた、企業横断の取り組みが始まった。2月10日、SUNDRED主催で「Take Off Anywhereプロジェクト」発足の発表会が開かれた。ドローンは、2022年の有人地帯での目視外飛行(Leve4)に関する規制が整う見通しで、いよいよ社会実装に向け、業界各社は取り組みを加速している。
そのような中、国産ドローンメーカーである自律制御システム研究所(以下、ACSL)、ドローンをはじめロボティクスの技術で社会インフラのDXを進めるセンシンロボティクス、VAIOの子会社でドローン産業のエコシステム構築を目指すVFRの3社はかねてより、「ドローンの社会実装を進めるためには、ドローンを運用する側が一丸となって取り組む必要がある」と対話を重ねてきたという。
そして、「誰でも、どこでも、必要なときにドローンを使える世界」を目指し、Take Off Anywhereプロジェクトを発足した。その過程で、共創パートナーとして加わったのが、100個の新産業創出を目指すアクセラレーターSUNDREDだ。さらに注目すべきは、ドローン業界外からも、パートナーが参画している点。SUNDRED、VFR、ACSL、センシンロボティクスと、VR空間生成技術を開発する理経、在宅医療の支援を行ってきたPHB Design、6社は共同でドローンの“新産業”を共創していくという。
冒頭、SUNDRED代表取締役の留目真伸氏は、「ドローンという新しい産業が広がりつつある、この総論には異論ないと思う。しかし新しい産業を、誰が、どのように作っていくのか、各論については、想像することが難しいのではないか」と切り出し、プロジェクト発足の趣旨を説明した。インターネットやIoTでオンオフあらゆるものがつながり、個社の事業では太刀打ちが難しい時代。留目氏は、「目的を共創し、新しいやり方で、新しい産業を共創していくことが求められている」と呼びかけた。
そのためには、3つのことが必要だという。1つめは、対話による目的の共創。「一人一人が社会人として、どのような世界を作っていくかという対話を行いながら、イメージを固めていく。個社の立場を優先するのではなく、私たち人間の未来をどのようにしていきたいのか、オープンかつフラットなマインドでの対話が求められる」と留目氏は説明した。
2つめは、共感で繋がるチーム。丁寧な対話を通じて世界観をすり合わせることで、目的を共感しあうチームが生まれていく。そして3つめは、エコシステムの構築。新しい目的の実現、新しい課題の解決を、エコシステム全体としてデザインして、共有して、実行していく。留目氏は、「新産業の創出は、個社だけでできることではない」と説明した。
留目氏は、「大企業、中小企業、スタートアップ、地方自治体、国、プロフェッショナルなど、世の中にはさまざまなアセット、ヒト・モノ・カネといったリソースがある。これが目的を共にせずに、バラバラに動いていたのでは、新しい産業は生まれていかない。目的を優先し、結合を図る推進者たちが現れて、対話をしていくことから、新産業は生まれていく」と話し、Take Off Anywhereプロジェクト発足の意義をこう説明した。
「今日伝えたいのは、ドローンという産業領域において、目的とエコシステムを共創するプロジェクトが生まれてきたということ。この6社は、まさに共感する目的を一緒に作り上げて、一緒にプロジェクトを作り進めていく、そういう仲間たち。さらに、世界での競争力のある形で新産業を作り上げていくためにも、まだまだ多くの参加者が必要。ぜひ、お声を上げていただき、一緒にプロジェクトを進めていきたい」(留目氏)
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