次に登壇したのは、ACSL代表取締役社長兼COO 鷲谷聡之氏。Take Off Anywhereプロジェクトの背景や目的について説明した。「日本の労働力人口は急速に減少し、高齢化社会が加速している。しかし、インフラ点検の維持管理には年間1兆円以上、国家予算の100分の1ものコストがかかっている。物流・郵便においては、年間40億個以上の宅配がある。防災や災害対応において、地方自治体では年間1兆円以上を予算計上している」と説明した上で、「日本社会は、人のデマンドと実際にサプライが壊れかけている」と指摘。これをドローンの技術でなんとかしたいのだと訴えた。
「需給にアンマッチが生じているという課題に対して、数あるロボティクスのなかでも、唯一、3次元空間を飛行できるのがドローンです。空中だけでなく、トンネルなどの半屋外空間、屋内まで、幅広い空間で有効活用できます。また、ロボティクスだからこそ、遠隔制御や自動飛行が可能になります」(鷲谷氏)
「2022年に法規制が整備され、市場が拡大していく、いまこそ共創が必要だ」という鷲谷氏のコメント受けて、本プロジェクトリーダーであるVFR執行役員(COO) 湯浅浩一郎氏が登壇し、Take Off Anywhereプロジェクト構想について説明した。
湯浅氏は、「人生100年時代に、人々を幸せにするドローンづくり。それが、Take off Anywhereプロジェクトだとした上で、ドローンが社会実装する未来を3つのフェーズに分けて説明した。ゴールは、「誰でも、どこでも、必要なときにドローンを使える世界」の早期実現だ。
現在、ドローンの運用体制は2〜4名、人件費だけで3日で100万円超えてしまうという。このような現場をワンオペレーション化するのが、フェーズ1だ。例えば、車両にドローンポートを設置し、1人で現地へ行って作業を行う。フェーズ2では、これを完全無人化、自動にする。例えば、遠隔診療を受けた後の薬のデリバリーだ。そしてフェーズ3では、さまざまなタスクを持つドローンが住空間を普通に飛んでいる、生活の一部に溶け込んだ世界を実現する。すでに、実際にドローンの開発も進んでおり、実際のオペレーションから逆算する形で、デザイン設計に入っているという。
「このような世界を実現し、かつ日本で国産ドローンを浸透させるためには、さまざまな企業が参画して一緒に作っていくことが必要になる。ハード、ソフト、サービスの企業が、このプロジェクトにもっと集まってくる予定」(湯浅氏)
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