SUNDREDら6社、企業横断でドローンの“新産業”共創へ--「Take Off Anywhereプロジェクト」 - (page 3)

ドローン業界“外”との共創を加速

 発表会では、センシンロボティクス代表取締役社長の北村卓也氏、理経代表取締役社長の猪坂哲氏によるパネルディスカッションも行われた(モデレーターはACSLの鷲谷氏)。理経は、自動車メーカーとともに自動運転車の開発に携わっており、現実と同等の仮想空間を構築して、その中でのシミュレーションデータの活用に取り組んでいる。同社の技術はドローンにも応用できるという。

 「自動車メーカーからは、1日走行して取得していたデータを、30分ほどで取得できるようになったと評価を受けた。この技術を応用して、ドローンの自動運航にも役に立てると考えている。ただし、車は2次元。3次元に空間が広がるドローンにおいて、どのように高速に処理してリアルタイムにデータを生成するかは1つの課題になる」(猪坂氏)

理経代表取締役社長 猪坂哲氏
理経代表取締役社長 猪坂哲氏

 センシンロボティクスの北村氏は、「デジタルツインの分野にかなり近い。あたかも現実世界であるかのような仮想空間を作ることで、実証におけるテスト飛行や、体験による不安の低減、新たなインサイトを引き出すなど、いろいろ活用できると思う」と応じた。そして、通信、映像、3次元空間、都市データなどに精通する企業の参画を呼びかけつつ、業界横断での企業連携における自治体の重要性にも言及した。

 「僕が中国に行って感じたのは、いろんな会社や要素技術を組み合わせてテクノロジーを社会に取り込もうとするときに、政府や自治体がいち早くサポートする、リードしていく動きが凄まじい。日本でも、新しい技術を“使えるレベルまで引き上げる”という点で積極的に支援していただけると、新産業のプレイヤーは著しく成長するのではないかと感じている」(北村氏)

センシンロボティクス代表取締役社長 北村卓也氏
センシンロボティクス代表取締役社長 北村卓也氏

 自治体とのコラボレーションについてはACSLの鷲谷氏も、「民間企業が作り込んだものをテストすることもさることながら、自治体の方ではこういう課題を解決するから、民間はこういう取り組みを加速させてほしい、といった発信をしていただけると、ドローンの社会実装は加速するのではないか」と賛同し、本プロジェクトへの自治体からの参加を呼びかけてパネルディスカッションを締めくくった。

パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子

 最後にビデオレターで登壇したのは、PHB Design代表取締役社長の狭間研至氏だ。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、日本でも遠隔診療と遠隔服薬指導が時限的特例的に許されていることに言及し、「これは恒久化の流れになっている」と話した。そして高齢化が進む地域医療を支えるために、薬局の薬剤師が薬のデリバリーを多数行っている現状について、「私たちの店舗でも年間10万回近い訪問を、人力で、車でやっている」と説明。地域医療のニューノーマルを実現するためには「処方薬の運搬方法もバージョンアップする必要がある」とドローンへの期待を語った。

PHB Design代表取締役社長 狭間研至氏
PHB Design代表取締役社長 狭間研至氏

 ドローンの新産業を共創し、世界でも競争力のある国産ドローンを実現していくため、この6社のみならず、さまざまな企業や自治体からのパートナーの参画、そこから生まれる「個社を超えた対話」が求められている。

 <各社の役割>

 

 SUNDREDは、新産業共創プロセスを活用したエコシステム共創の推進によるドローン産業発展のリード。ACSLはドローン機体開発、離着陸制御および自動航行制御の制御システム開発、機体技術面から見たドローンの可能性と課題の発信。センシンロボティクスは、全自動ドローン基地のソフトウェア開発、経済面、ユースケースからみたドローンの可能性と課題の発信。VFRは、ドローン機体開発 、全自動ドローン基地のハードウェア開発、製造面、経済面からみたドローンの可能性と課題の発信。理経は、仮想現実空間を利用したドローン開発環境の構築。PHB Designは、遠隔医療を完成させる薬局の持つべき物流機能の提案と検証。

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