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OKIのイノベーション活動「Yume Pro」、3年間の歩みとその先--鎌上社長インタビュー - (page 3)

藤井涼 (編集部) 日沼諭史2021年02月15日 10時52分
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長期的な視野で技術開発すべく開発部門とイノベーション部門を統合

——このコロナ禍におけるイノベーション活動で心がけていることはありますか。

藤原氏 : Yume Proでは対外向けのプロモーションをすごく重要視しています。自分たちが内に閉じこもっていても気づいてくれる人は誰もいません。スティーブ・ジョブスの言葉に「いくら素晴らしいものをつくっても、伝えなければないのと同じ」というのがありますが、まさにそれなんですよね。

 ですので、とにかくプロモーションをする。自分たちがやっていることを外に出していくためにプレスリリースもどんどん発信しています。これは自分たちが進めているビジネスを明らかにして、できるだけ早い段階からパートナーの方々と一緒に活動し、事業化に向けて進めることが大事なのではないか、との考えからです。コンテンツをきちんと作り、お客様になるべくわかりやすくする。必要な会議もリモートでなるべく早く実施するなど、そういったところに注力して活動を続けてきました。

——今年度までの活動を踏まえて、2021年度、Yume Proはどう進化していくでしょうか。展望などありましたら教えてください。

横田氏 : 先ほど「チャレンジする企業文化に変わりつつある」というお話はしましたが、仮説検証のためにお客様へヒアリングに伺っているけれど、せいぜい数回程度で検証としては不十分だったりします。少なくとも数十回は行かなければわからないのに、行けない、行き方がわからないといった課題が出てきているので、ここが強化ポイントです。

 また、地域によって温度差があるという指摘もあります。そこで、北関東の拠点のイノベーション活動を活性化させるために、「Yume ST-Takasaki」を高崎事業所に開設することにしました。IMSは、作って終わるのではなく、評価・検証・改善活動を続けることによって、継続的に成熟度を高めていく。そういう活動はこれからもしっかりやっていきたいですね。

藤原氏 : 新規事業開発の観点で言うと、最終的にはビジネスとしての成果を出さないといけません。プロモーションもしていますし、共創してくれるお客様も増えていますが、最終的には収益に貢献する必要があります。2021年は、小さなことでも、とにかく収益にリーチできることをやっていこうと考えています。

沖電気工業株式会社 イノベーション推進センター長の藤原雄彦氏
OKI イノベーション推進センター長の藤原雄彦氏

 イノベーション活動は高速回転させて事業に近づけていくことが重要で、それに5年も6年もかかっていたら失敗だぞ、と自分に言い聞かせながら、2021年度はスピード感をもって事業化に近づけることを考えていきたいですね。

——その意味では、むしろオンライン化が進んだことでコミュニケーションのスピードアップは図られているのではないでしょうか。

横田氏 : そうですね。たとえば「Yume Proフォーラム」というセミナーを行っていて、2019年度は全国各地の会場で開催していましたが、それだけだと全国にいるたくさんの社員全員にはなかなか行き届きません。ところが、今年度はオンライン開催になったことで全国から気軽に参加できるようになりました。企業文化の改革など、グループ全体に向けたメッセージは届けやすくなりましたね。

——オンライン化、テレワーク化の影響で、オフィスで仕事することのメリットや理由を企業がしっかり提示しなければならない、というような時代にもなってきています。そのあたりはどうお考えですか。

鎌上氏 : 在宅勤務にしろオフィス勤務にしろ、最適な働き方を目指していけばいいのではと考えています。組織における働き方改革については、社内では「スマート・ワークライフプロジェクト」という形で進めていますが、むしろ、イノベーションを手がける部門と既存事業を担当している部門、これらのつながりをいかにもたせるかが、私はイノベーションを進めていく上で重要じゃないかと考えています。

  一般的には「2階建て」と言われますよね。既存事業と新規事業の2階建て。これをうまく連携させることが重要です。また、2020年度からは、「イノベーション推進」と「研究開発部門」の2つ、今まで別々だったところを統合しました。なぜなら、イノベーションを実現するには、あわせ持つ新しい技術も投入しなければならないのではと考えたからです。

 2つを一緒の組織にして、課題を解決する技術を2年、3年、あるいは5年という長期的な視野で開発していく。そのうえで、ただ先を見据えるだけではなく、既存の事業部門とどのように連携して橋渡しさせるか。イノベーションの関連部門が既存事業から離れている会社が多いようですが、われわれはここを一緒にして進めます。その上で、テレワークなりオフィス勤務なり、ベストなものを選びたいですよね。

——そのほか今後注力していく技術分野があれば教えてください。

鎌上氏 : 5Gです。といってもただの5Gではありません。5Gには主にスマートフォン向けのパブリック5Gと、ローカル5Gの2種類がありますが、われわれが手がけるのはローカル5Gで、その環境構築の免許を取得しています。ローカル5Gは、決まったエリアで5G通信を利用できるようにするものです。たとえばスマートファクトリーやスマートシティなど、限られたエリアの中で大量のデータを高速な無線通信で収集する、そんなローカル5Gの構築を積極的に進めていきます。

 ローカル5Gがどの会社でもできるかというと、そうではありません。旧電電ファミリーみたいな通信技術を持ってる会社、つまりわれわれみたいな会社だからこそ可能な技術でもあるんです。スマートファクトリーなどの決まったエリア内で、機器1つ1つに搭載されたセンサーで情報を集め、そこにAIを入れてデータ処理する。幅広い業種で、こういった動きは今後どんどん広まっていくのではないかと思います。

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——Yume Proは2030年を見据えた取り組みですが、2030年から先のOKIの姿はどうなっていると想像していますか。

鎌上氏 : わからない、というのが答えかもしれないですね(笑)。ただ、OKIの企業価値は何だろうと考えたとき、最初に話したように、社会課題を解決して社会に貢献していくことだと。ずっと遡っても、OKIってそういう会社だったんだと思っています。

 したがって、2030年以降もそういう形の会社であり続けるのでしょう。ただし、そのベースとなるのは技術です。世の中の変化に合わせて新しい技術を取り込み、開発することによって、社会課題を解決していく。それを続けていくのがOKIの将来像ではないでしょうか。今から30年先、50年先、どんな世界になっているかはわかりませんが、いずれにしろ社会課題を解決していく、社会に貢献していくという点では、永遠にOKIの使命は変わらないでしょう。

 2031年はOKIの創業150周年になります。そのときに実現すべきことからバックキャストして、今何をやるべきかを考えたのが中期経営計画2022です。これから30年後、2050年にカーボンニュートラルを実現するという宣言はそのなかに含まれています。政府はCO2排出実質ゼロを目指すとしていますが、そのために消費電力ゼロに向けて自家発電する、工場の電気使用量を極力なくすなど、今すぐはできないにしてもやるべきことはたくさんあります。少なくとも子どもや孫の世代に綺麗な地球環境を残すことは、われわれの使命ではないかと考えています。

 CNET Japanでは2月にオンラインカンファレンス「CNET Japan Live 2021 〜『常識を再定義』するニュービジネスが前例なき時代を切り拓く〜」を1カ月間(2月1〜26日)にわたり開催中だ。2月17日のセッションでは、今回のインタビューでもお話いただいたOKI 執行役員の横田俊之氏が『OKIのイノベーション・マネジメントシステム(IMS)”Yume Pro”』と題して登壇する。後半では質疑応答の時間も設けるので、Yume Proについてより深く知りたい方はぜひ参加してほしい。

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