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OKIのイノベーション活動「Yume Pro」、3年間の歩みとその先--鎌上社長インタビュー

藤井涼 (編集部) 日沼諭史2021年02月15日 10時52分
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 日本初の通信機器メーカーとして創業し、2021年11月に140周年を迎えるOKI(沖電気工業)。かつてはNTTの前身である日本電信電話公社(電電公社)の電話交換機などを開発し、現在では通信機器、情報端末、映像関連機器など、社会インフラを支える幅広いシステム、ソリューションを展開している。

沖電気工業株式会社 代表取締役社長の鎌上信也氏
OKI 代表取締役社長の鎌上信也氏

 そんな老舗企業であるOKIにおいて、イノベーション創出に向けた取り組みが本格化している。2017年より社会課題の解決を目指すプロジェクト「Yume Pro」がスタートし、イノベーション・マネジメントシステム(IMS)として体制を整備。そのなかで社内アイデアコンテスト「Yume Proチャレンジ」なども実施し、全社規模でイノベーション創出のための活動を推進している。

 立ち上げから3年以上が経過し、Yume Proのプロジェクトは今どのような段階にあるのだろうか。OKI代表取締役社長の鎌上信也氏に、Yume Proに込めた思いや現時点での評価を伺うとともに、先頭に立ってプロジェクトを率いている同社執行役員の横田俊之氏、イノベーション推進センター長の藤原雄彦氏に、これまでの歩みを振り返ってもらった。

人々が安心して暮らせるように「社会の大丈夫をつくっていく。」

——2020年は新型コロナウイルスで業績に打撃を受けた産業も多かったですが、OKIではどのような影響がありましたか。

鎌上氏 : 海外は欧米を中心にロックダウンし、その市場における商材の売上がダウンしたという影響はありました。過去、SARSのときも2002年11月に発生して翌年夏までには終息していましたから、2020年3月頃の段階では新型コロナウイルスも上期一杯で終息して、下期には普通の状態に戻るんじゃないかと思っていました。ところが、ここに来てまた感染が広がっています。

 これがずっと続くと、海外市場への影響はさらに大きくなるでしょう。一方で日本国内については、輸送系、つまり鉄道や、それに関連する旅行関連の業種などについてはある程度影響を受けている、というのが足元の状況になります。

——業績以外の、たとえば組織内における影響についてはいかがでしょうか。

鎌上氏 : 在宅勤務、テレワークで就業スタイルが大幅に変わった1年でした。現在の出社率は、首都圏の事業所は2~3割ほどです。しかし、実はテレワークに関しては会社として数年前から準備していました。2020年に予定されていた東京オリンピック・パラリンピックに向け、開催期間中の混雑回避のために、行政からの要請もあって出勤の抑制や通勤手段・時間帯の再検討が必要になっていたからです。

 実際、2017年には1日限りながら「テレワーク・デイ」という取り組みを実施し、その後「テレワーク・デイズ」「テレワーク・ウィーク」と、段階的に広げてきました。いざ緊急事態宣言となると少し混乱もありましたが、以前の経験値から全社的なテレワーク化は導入しやすかったところはあると思います。

 営業活動もオンラインで行うなど、現場の中で苦労しながらやってきて半年以上たち、だいぶこなれてきました。毎年開催しているプライベート展示会も試行錯誤しながら初めてオンラインで実施しましたが、お客様から「良かった」とのお声もいただき、われわれとしても1つの成果を上げられたのかなと思います。今後新型コロナウイルスが終息したとしても、臨機応変にオンラインやテレワークを導入しながら業務を進めていくことになるんじゃないかと感じています。

——ウェブサービスなどに特化した事業者であれば、フルリモートワークでも問題ない企業もあるかもしれませんが、御社の場合はそういうわけにはいかないところもありますよね。

鎌上氏 : リアルの顧客接点になっている情報端末も提供しています。お客様が直に製品に触って操作しないとわからない部分もあり、オンラインだとそういったリアル感が出しにくい。でも、オンラインでお客様から質問をいただきながら、弊社の社員が代わりに操作したりと、いろいろな工夫をしながら提案しています。バーチャルだけでできる業務ばかりではないので、なかなか難しいところはありますが。

——2020年10月に策定された「中期経営計画2022」について、そのなかにあった「社会の大丈夫をつくっていく。」という言葉が印象的でした。この言葉に込めた思いを教えていただけますか。

鎌上氏 : 中期経営計画2022の策定にあたっては、まず従業員やステークホルダーの方々にわかりやすいメッセージを送りたいという思いがありました。われわれの業界を含め、やたらと難しい横文字、バズワードをたくさん使っています。そういった言葉を使って世の中の変化に対応していくのも重要ではありますし、否定するわけではありません。

 ただ、わかりやすいメッセージを出すために、OKIの企業価値、存在価値は何だろうと考えたとき、事業を見渡してみると、われわれは社会課題を解決していく企業ではないかと改めて感じました。「社会課題の解決」だと領域は広すぎますが、われわれの事業の共通項の1つとして広義の社会インフラを作っている会社ではあるなと。

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 そんなさなかに新型コロナウイルスの感染が拡大しました。中期経営計画2022を発表する準備をしていたタイミングです。在宅勤務の状況でテレビを見ていたりすると、世の中のいろいろなところで「大丈夫」という言葉が出ていました。プライベートでも、「これやって大丈夫? 感染しない?」とか、「あそこに行って大丈夫?」とか、あちこちで「大丈夫」という単語が出てくるわけですよ。

 そこで、社会の「大丈夫」を提供していくことがOKIの存在価値、使命ではないかと考えました。それが広義で言う社会インフラを作っていくことにもなるだろうと。ここで言う「社会」は、みなさん1人1人の生活も意味していると私は思っています。ですから、皆さん1人1人が安心して暮らせるようにする、大丈夫という安心感をつくっていく。それがOKIの存在価値であり、使命じゃないか、というところから「社会の大丈夫をつくっていく。」というメッセージになりました。

——OKIとしてはどういったアプローチで社会課題の解決を図っていこうと考えているのでしょう。

鎌上氏 : 社会課題の解決はこれまでの中期経営計画でもずっと掲げてきたものです。当初、中期経営計画2022で挙げていたテーマは6つでした。老朽化問題、自然災害、交通問題、環境問題、労働力不足でしたが、コロナ禍を受け、これに感染症拡大を加えています。

 たとえば、従来は労働力不足や生産性向上というところについて、「人を置き換える自動化」をテーマに製品開発し、社会に提供してきました。ところがこのコロナ禍で「非接触・非対面」や「無人化」といったキーワードが出てきました。今までは労働力不足を解決するための「人を置き換える自動化」を進めてきましたが、これからはもう一歩踏み込んだ「非接触・非対面」「無人化」が必要になるということです。

 新たにテーマとして加えた感染症拡大には、さまざまな業種の方が接客する時の不安を解消していくため、それこそみなさんの「大丈夫」を実現していくために、非接触・非対面や無人化を実現していくことが、われわれの使命の1つになるという意味合いが含まれています。単純に労働力不足や生産性向上という側面を見るだけでなく、もう一歩踏み込んだ形で取り組まなければいけません。

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