亡くなった愛する人とやりとりできる人工知能(AI)チャットボットというと、SFの世界から飛び出してきた話のようだ。しかし、Microsoftが特許を認められたテクノロジーが実現すれば、話好きな3Dデジタルキャラクターとなった故人との会話が、いつの日か当たり前になるかもしれない。
この特許には、「特定人物の対話チャットボットの制作」というタイトルがついている。画像、音声のデータ、ソーシャルメディアの投稿、電子メッセージなどが、「特定の人物の人格を主題とする特別なインデックスを作成または修正」に利用される可能性があると説明されている。画像や動画を使って特定の人物の3Dモデルが生成される場合があるなどとされており、一層リアルになるかもしれない。
この技術は「過去または現在の実在する人物に対応することがある」とされていることを考えるとますます刺激的な話だ。
発明者は、Dustin Abramson氏、Joseph Johnson, Jr氏とされている。Microsoftは2017年にこの特許を出願し、2020年12月に認められている。「過去の実在した人物」をインタラクティブな生きた記念物のようなものとして生き返らせるチャットボットが示唆されていることから、この数日、オンラインで話題になっている。
MicrosoftでAIプログラムのゼネラルマネージャーを務めるTim O'Brien氏は、「とにかく、これについて何も計画はない」とツイートした。
そしてO'Brien氏は、「しかし、もし『ブラック・ミラー』の脚本を書く仕事が私のところにきたら、ストーリーのアイデアは米国特許商標庁(USPTO)のウェブサイトにいけばいいということになるだろう」としている。
Ya, I get it, no worries. At any rate, confirmed that there’s no plan for this. But if I ever get a job writing for Black Mirror, I’ll know to go to the USPTO website for story ideas.
— Tim O'Brien (@_TimOBrien) January 22, 2021
「ブラック・ミラー」は英国のSFテレビドラマシリーズで、2013年の「ずっとそばにいて(Be Right Back)」というエピソードでは、テクノロジーで死者をよみがえらせるという、似たようなコンセプトを扱っている。このエピソードでは、ボーイフレンドに先立たれた女性が、死んだボーイフレンドを驚くほど正確に再現したAIとコミュニケーションができるサービスを利用する。このAIは、過去のオンラインのコミュニケーションやソーシャルメディアのプロフィールに基づいたものとなっている。
Microsoftのような著名な企業がチャットボットで死者を永遠のものにするようなシステムの輪郭を描いているとすれば、このようなことがいつの日か、より広く受け入れられるようになる可能性が出てくるということを示唆しているのかもしれない。問題は、私たちはこれを実現するべきなのかということだ。もしするのであれば、どうあるべきか。ブラック・ミラーのエピソードが示しているように、簡単な答えなどないだろう。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス