Qualcommは米国時間1月13日、データセンター向けに高性能ながら電力効率の高いチップを設計する新興企業Nuviaを買収することで合意したと発表した。買収金額は約14億ドル(約1450億円)。Nuviaは、Appleのチップ開発に携わった元幹部らが2年前に創設した企業だ。
Qualcommは、新たに手に入れた技術をサーバーのみに適用しようとしているわけではない。同社はNuviaのCPU(デバイスの頭脳)を、スマートフォンチップから同社のノートPC用プロセッサーや車載コンポーネントにいたるまでのあらゆるものに利用する計画だ。これにより、サムスンの「Galaxy」シリーズのスマートフォン、レノボのノートPC、General Motorsの自動車の性能とバッテリー効率が、これまでよりもはるかに高くなる可能性もある。
NuviaもQualcommも、プロセッサーにArmの技術を採用しているが、QualcommはArmからコアのライセンス供与を受けているのに対し、Nuviaは独自のコアを設計している。これによってNuviaは、性能と電力効率が高くなるようにそれらをカスタマイズする能力でQualcommを上回り、Armへの依存を下げることにも成功している。Armは、NVIDIAに400億ドル(約4兆2000億円)で買収される予定だ。
QualcommがNuviaを買収すれば、ArmベースのPCも、求められている性能向上を果たせるかもしれない。Apple初のArmベースのコンピューターは、かなり高い評価を得たが、Qualcomm製チップを採用する最初の一連のWindows PCには、性能不足との見方もある。同社がNuviaの技術を自社のプロセッサーに投入すれば、その評価が変わる可能性がある。
Nuviaの共同創設者であるGerard Williams III氏、Manu Gulati氏、John Bruno氏は、同社を創設する前は、Appleの半導体設計事業に携わっていた。Nuviaの最高経営責任者(CEO)であるWilliams氏は、2019年3月にAppleを離れるまで、「A7」から「A12X」までのすべてのAppleチップコアの設計を統括した人物だ。2010年にAppleに入社する前は、Armに12年間勤めていた。Armの設計は、ほぼすべてのモバイルプロセッサーに採用されている。Gulati氏とBruno氏は、Nuviaを共同創設する前にGoogleに勤めていた時期もある。この3人は、Nuviaの他の従業員とともに、Qualcommに加わる予定だ。
Nuviaは、まだ実際の製品を提供していないが、ハイテク業界の多くの大手投資家の注目を集めている。2020年9月には、Peter Thiel氏率いるMithril Capital、Dell傘下のベンチャー企業、Marvellの創設者らをはじめとするさまざまな企業から、2億4000万ドル(約250億円)を調達した。Nuviaは当時、2022年には製品を顧客の手に届けるつもりだと述べていた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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