複雑な食感を実現--ナショナルデパート、スイーツ専用の食品3Dプリンティングシステム

 ナショナルデパートは1月13日、複数種類の食材のインジェクションが可能なスイーツ専用の食品3Dプリンティングシステム「Topology(トポロジー)」を開発したと発表した。

 
 

 同社は、バター専門ブランド「カノーブル」を展開。香るバター「ブールアロマティゼ」シリーズで多種多様なフレーバーを開発・製造する中で、モールド作成などの工程で3Dプリンターを積極的に活用してきたという。

 今回発表したTopologyは、バターの開発・製造で培った、3Dプリンター活用やテクスチャ開発の実績を基に開発。3Dプリンター単体の開発ではなく、3Dプリントに最適化するためのテクスチャ剤の開発などを含め、食品3Dプリントの総合的なシステムの構築を目的としている。

 
 

 また、クリームやスポンジケーキなどのスイーツを構成するための食材を格納するストレージと食材を射出する4軸アームで構成。容器に密封された状態で機器にセットされた食材は、機器内のポンプで接続したチューブを通してアーム部分に送液され、先端の口金から射出される。

 これまでの食品3Dプリンターは、食材をシリンダーに収めてピストンで押し出す構造であり、複数種類の食材を切り替えながらシームレスに射出することは不可能だったという。しかし、Topologyは食材の種類ごとに独立したポンプで制御することで、継ぎ目のない射出が可能になっている。

 
 

 増粘剤や乳化剤を調合した専用のテクスチャ剤を利用すると、これまで3Dプリンターで造形が不可能であったスポンジケーキなどの固形物も粘体として送液することができ、より複雑な食感を実現できるという。また、機械耐性の向上や耐冷凍性の向上なども実現した。

 さらに、スパウトパックに密閉した状態で食材をセットするため、異物混入などのリスクが軽減可能。これまでのホッパーとスクリューで充填していた製造機械では、時間のかかっていたパーツの洗浄なども省力化でき、少量多品種の製造に特化したシステムだという。

 試作機ではすでに、自社製品のシンギュラリティバターケーキの製造でも一部テスト運用しており、バターで成形したモールド内部に6種類のマテリアルの射出に成功。実用化についての実証実験も着実に進んでいるという。

 
 

 同社では、テスト機を2021年のバレンタイン商品製造から一部テスト稼働させ、今後はスイーツ3Dプリンターの開発を核として、総合的な食品3Dプリンティングシステムの構築を目指す。

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