ジョージ・W・ブッシュ政権の際に、大統領を支えた黒人国務長官の本というだけでも、本書はとても興味深いものである。本書では、パウエル氏自身の人となり、時給50セントのアルバイトから国務長官までのぼりつめた勤勉さや、関係者すべての人に向けた愛情と奉仕の精神がわかりやすく語られており、最後まで一気に読み進められる内容になっている。
本書のタイトルにも含まれている、リーダーシップや組織マネジメントというと、概念的で俯瞰的な視点について語られるのかと思うだろう。しかし、本書はパウエル氏自身が長い軍人生活、そして、政権の要職を務める中で部下や組織を改革・管理してきた具体的な「覚え書き」が込められた優れた指南書である。
13カ条のルールでも語られている「小さなことをチェックすべし」、の理念通り、マネジメントをする上で細部に目を配ってきた経験が豊富に掲載されており、実際の組織でも応用できることは間違いないだろう。さらに、リーダーとしての精神論に言及することも忘れてはいない。13カ条の初めにあるように、悲観的になりそうな状況でも、部下の模範となるように自分を律し楽観的姿勢を崩さないよう心がけることがリーダーとしての務めである。
本書は、パウエル氏がリーダーとして部下を率いてきた記録だけでなく、部下として上司や与えられた任務に対してベストを尽くしてきた記録でもある。そのため、既にリーダーの役割を担う人だけでなく、向上心を持つ全ての人に読んでもらいたい1冊だ。
今回ご紹介した「リーダーを目指す人の心得」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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