ソニー、CESでの注目は車とドローン--「3Rテクノロジー」一挙に披露

 ソニーは、米国時間の1月11~14日までオンラインで開催される「CES 2021」に出展。同社の最新技術や製品の展示を行う。

 ソニーが新たに開設したオンラインプラットフォーム「Sony Square(ソニースクエア)」において、ソニーが追求するリアリティ(Reality)、リアルタイム(Real-time)、リモート(Remote)の「3Rテクノロジー」を活用した製品やサービス、コンテンツ、テクノロジーを、12本の映像を通じて紹介する。Sony Squareへの事前登録の必要はなく、映像はそれぞれ5~25分程度で構成され、日本語字幕で視聴できるものも用意している。

ソニー 代表執行役会長兼社長CEOの吉田憲一郎氏と初公開されたAirpeakの機体
ソニー 代表執行役会長兼社長CEOの吉田憲一郎氏と初公開されたAirpeakの機体

 同社では、「テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニーであるソニーが、3Rテクノロジーを通じて、新たな価値を創出し、世界に感動と安心を提供するためのさまざまな取り組みを紹介する」としている。

 CES 2021で公開される12本の映像は、「創造力を広げるコンテンツクリエーション」、「超臨場感エンタテインメント」、「より良い未来に貢献するテクノロジー」の3つのカテゴリーで構成される。

 「創造力を広げるコンテンツクリエーション」では、8つのコンテンツで構成する。

 「バーチャルプロダクション」では、ボリュメトリックキャプチャにより、セットや屋外ロケの3D点群データを、バーチャル プロダクション ソフトウエア「Atom View」で再現。クリスタルLEDディスプレイで、リアルタイムに背景を投影する映画、放送業界向けソリューションとして紹介する。リモートでも制作を止めない環境を実現するソリューションだ。

 「イマーシブリアリティコンサート」では、アーティテストが、リアルタイムの3D制作技術を活用して、リアリティの高いアバターとなり、最新曲のメドレーを届ける。ステージは、ニューヨークのソニーシアターを仮想空間に再現。話題のマディソン・ビアがアバターで登場する。事前にデジタルだけで作ったと言われないと、本物と見間違うほどのリアルティを実現しているという。今回は5Gでの利用を視野に入れて、ベライゾンとの共同プロジェクトとして取り組んでいるという。

 「360 Reality Audio」では、360度の球状に広がる空間で音楽を表現することを可能にする同技術の特徴や進捗状況について紹介。新たに音楽ソフトウエア開発会社であるVirtual Sonicsと共同で、対応楽曲制作ツール「360 Reality Audio Creative Suite」を開発したことに加え、対応機器の拡大や、他社へのライセンス提供などにも触れる。360 Reality Audioは、すでに、アリシア・キーズ、リル・ナズ・X、ミーガン・ザ・スタリオン、ノア・サイラス、ザラ・ラーソンの新曲を含む、4000曲以上の対応楽曲が提供されている。

最注目のドローンプロジェクト「Airpeak」は機体を公開

 「Airpeak」は、CES 2021におけるソニーの展示において、最も注目を集めることになりそうだ。

 Airpeakは2020年11月に公表したAIロボティクス領域におけるドローンの新たなプロジェクトであり、2021年春の事業開始に向けて準備を進めているところだ。同社では、「映像クリエイターの創造力を余すことなく支援し、エンタテインメントのさらなる発展に加え、各種産業においても一層の効率化や省力化に寄与することを目指す。また、これまでドローンの活用が困難だった環境においても最高水準の安全性、信頼性により安心して利用できるようにプロジェクトを推進していく」としている。

 今回のCES 2021では、Airpeakに、フルサイズミラーレス一眼カメラである「α」を搭載することを明らかにするとともに、初めて機体デザインを披露。実際に飛んでいる映像も公開する。今後、詳細なスペックや具体的な発売時期、価格、いつ発表されるかといった点に注目が集まることになるだろう。

Airpeakの機体
Airpeakの機体

 また、スマートフォンの「Xperia 5Ⅱ」では、αシリーズの技術を活用して本格的な撮影が楽しめる「Photography Pro」と、ソニーの映画撮影用プロフェッショナルカメラ開発チームが、画作りや操作画面を監修したシネマ撮影専用機能の「Cinematography Pro」によって、映像制作を支援する様子を紹介。裸眼で視聴できる空間再現ディスプレイの「Spatial Reality Display」では、その場に実物があるかのような立体な空間映像を再現する様子を表現し、クリエイターの表現力の広がりを支援できる内容を、それぞれ紹介する。

「Xperia 5 II」でPhotography Proを活用する
「Xperia 5 II」でPhotography Proを活用する

 「クリスタルLEDディスプレイ」では、新たに発表したPremium Direct Displayを紹介。クリエイターが意図した通りのコンテンツを忠実に再現するという圧倒的なリアリティを実現した高精細映像を示しながら、企業のショールームやロビーへの設置、バーチャルプロダクションなどの用途提案を行う。

 競技の公平性や選手の技術向上、試合の魅力向上に貢献している「ホークアイ」では、パルスライブとの組み合わせで、スポーツのプレイ映像と、スポーツデータを利用して、判定からファンエンゲージメントに至るまでの幅広いスポーツイノベーションを提案する内容を紹介する。すでに、ホークアイのプレイ分析サービスは、2020年から、MLBの全30球場で導入。リアルタイム解析による精密なデータを球団やファンに提供している。そのほかにも、ホークアイによる審判判定補助システムやトラッキングシステムとして、世界90カ国以上、25種類以上の競技、年間3万回以上の試合で使われているという。

大幅進化のコンセプトカー「VISION-S」、公道走行も

 「超臨場感エンタテインメント」のカテゴリーでは、3つのコンテンツを用意している。

 「BRAVIA XR」は、新世代の統合認知型高画音質プロセッサー「Cognitive Processor XR」を搭載することで、より自然な映像を映し出することに成功。人が感じる画と音に近い、リアリティのある没入体験を実現するのが特徴だ。CES 2021にあわせて、8K液晶テレビの「Z9J」や、4K有機ELの「A90J」、4K液晶テレビの「X95J」など、5モデルを発表。BRAVIA XR向けに限定した映画配信サービス「BRAVIA CORE」を開始することも発表した。

 「PlayStation 5」では、今回は新たな発表はとくにないが、超高速アクセスのSSDと、統合カスタムI/Oの搭載、Dual Senseワイヤレスコントローラと、3Dオーディオ技術などによる革新的なゲーム体験を紹介することになっている。

統合認知型高画音質プロセッサー「Cognitive Processor XR」
統合認知型高画音質プロセッサー「Cognitive Processor XR」
「プレイステーション 5」
「プレイステーション 5」

 また、このカテゴリーでも「360 Reality Audio」を紹介。ここでは、CES 2021に合わせて、ザラ・ラーソンによるパフォーマンスを、楽曲配信アプリ「Artist Connection(アーティストコネクション)」を通じて、1月12日午前7時から配信する。公式な配信サービスの開始に先駆けて配信するものであり、360 Reality Audio初のビデオコンテンツとなる。日本国内でも視聴体験ができる。

 「より良い未来に貢献するテクノロジー」のカテゴリーでは、2020年のCES 2020でも注目を集めたコンセプトカー「VISION-S」を紹介する。2020年、公開したVISION-Sでは、33個のセンサーを搭載していたが、今回、公開するVISION-Sでは、外観デザインなどに変化はないものの、搭載するセンサーの数を大幅に増加。安全や安心のための技術開発や、エンタテインメント、アダプタビリティにより車両を進化させるとともに、技術検証のために、公道走行をオーストリアで開始するといった実績に基づいた進化を遂げていることを改めて紹介する。

VISION-S
VISION-S

 ソニーでは、今回のCES 2021の出展について、「オンラインの特性を生かして、世界中のどんなところからでも、いつでも自由にアクセスしてもらうことができる。より多くの人に見てもらいたい」としている。

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