スマートフォンネイティブが見ている世界

親の名前から宿題まで気になることは何でも「検索」--小学生たちの検索事情

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 ある学校で、「早い子は小学生で自傷行為を始める」と聞いた。「すっきりする行為」などの言葉で検索すると、「泣く」などと並んで「自傷行為」が上位に表示される。すっきりしたいと考えて検索した子どもが「自傷行為=すっきりする行為」ととらえて興味を持ち、手を出してしまうことがあるという。「一度始めると癖になるみたいで、何度も繰り返している。そのような子どもを何人も見た」

 デジタルネイティブ世代にとって、「答えを知りたい時には検索をする」のは当たり前のことだ。スマホを持っていない小学5年の息子も、知りたいことがあると「ねえ、○○って検索して」とすぐに言ってくる。中古のスマホを貸したところ、いつの間にかあるゲームの攻略動画を検索で見つけ出し、早速プレイしていた。

 検索は身近なこととなったが、子どもにどのような影響を与えているのか。子どもと検索の関係と実態について見ていきたい。

小学生に検索は当たり前、親の名前も「検索」

 内閣府の「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」(2020年4月)によると、9歳以下の子どものインターネットの利用内容は、「動画視聴」(89.2%)と「ゲーム」(59.0%)が多い。「情報検索」は全体では11.7%だが、9歳に限ると30.4%、8歳が15.7%、7歳が10.6%など、就学児が情報検索に馴染んていることがわかる。

 小学生は、通信教育用などにタブレットを与えられていることが多い。また近年はスマホを買い与えられていたり、中古のスマホを譲り受けていることも多く、そのような端末で日常的に情報を検索しているのだ。学校の宿題であるテーマに関してインターネットで検索をするという宿題が出されたことがあるが、検索はそのくらい日常に即したものなのだ。

 子どもがある程度の年齢になると、保護者からの「子どもが(親である自分の)名前を検索していた」という報告が増える。「SNSアカウントも見つかって、ふざけた写真や投稿も見られてしまった。『きれいな女の人の友だちが多いね』と言われてしまって、立場がない」。

 検索を覚えた子どもたちは、気になる単語を片っ端から入力して検索を始める。親の名前や先生の名前などはもちろん、気になる単語は何でもだ。その結果、自分の両親のSNSアカウントを見つけたり、投稿していた写真を見たり、交友関係を見るということになる。子どものアカウントが見つかるということは、親のアカウントも見つけられるということだ。子どもに見られたくないことは投稿してはいけない時代なのだ。

検索でフィッシングサイトにアクセスも

 10〜70代を対象としたJMRO(日本マーケティングリサーチ機構)の「Googleの検索時の候補ワードについての市場調査(2020年7月)」を見ると、Google検索時、入力途中に候補ワードを確認するか調査したところ、「確認する」は45%、「確認しない」は55%だった。また、購入検討中商品をGoogle検索時、入力途中の候補ワードに気になるワードがあったらクリックするか調査したところ、「クリックする」は44%、「しない」は56%だった。

 この調査結果と同様に、子どもたちも検索行動を通して新しい情報を得る。あれこれ入力しているうちに、思わぬ情報にたどり着くことも珍しいことではない。気づいたら詐欺サイトや違法サイトにたどり着くということも十分起きる。

 ある小学生は、検索して表示された広告などをタップしているうちに、フィッシングサイトにたどり着いてしまった。「支払い完了です」と5万円を請求され、青ざめたそうだ。子どもの様子がおかしいことに気づいた保護者が問いただしてわかったという。検索結果に広告が混じっていたり、フィッシングサイトが表示されたりすることがわからない子は少なくない。

検索すれば何でも分かり、検索が入り口にも

 「検索すれば何でもわかると思う」とある小学生はいう。彼の兄がわからない問題をQ&Aサービスで聞いたところ、知らない大人に丁寧な回答をつけてもらえたそうだ。「わからなかったからラッキー。お前もわからないことはここに書けばいいよ」と言われたそうだ。実際その小学生も、Q&Aサービスで自分が知りたい質問を見つけて回答を参考にすることは多いという。「知りたいことを疑問形で検索したら出てきた。やっぱり検索はすごい」。

 Q&Aサービスには、小中高校生などが「解けないので教えてください」と数学の問題を投稿したり、「○○というテーマで短歌を作る宿題が出ました。アイデアお願いします」など宿題のことを聞いている例は多い。それだけでなく、「保護者の制限を破って課金する方法」「親にバレずに課金したい」などの質問も多く寄せられている。これに対して大人が丁寧に回答している例は多い。

 今は小学生でもインターネットに接続できるデバイスを持ち、自由に検索できる時代だ。子どもが思わぬ情報やサイトなどにアクセスして被害にあうことがないよう、利用状況はくれぐれも見守ってほしい。特に低年齢のうちは、フィルタリングサービスを利用したり、「Yahoo!きっず」などの子ども向け検索エンジンを利用すると安心だ。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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