女子高生には「位置情報」もかわいい?--インスタで広がるオリジナルの位置情報作り

 女子高生たちがInstagramの位置情報を使って遊んでいることをご存知だろうか。彼女たちの投稿を見ると、「ありがとう」「女子高生の日常会話」「ドキドキ」などのユニークな位置情報をつけていることに気づく。

 位置情報を位置情報としてではなく、「かわいい言葉」あるいは「写真のタイトル」として使っているようなのだ。中には、他の年代と差別化するためにこのような使い方をしている女子高生もいるようだ。女子高生たちの最新の位置情報の使い方について見ていきたい。

「かわいい言葉」として位置情報を使う

 Instagramで位置情報をつけて投稿すると、位置情報は投稿した写真の上に文字で表示される。一見、投稿写真のタイトルやコメントのように見える。もともとInstagramでは文字情報としてハッシュタグがつけられるが、位置情報なら写真を開くとすぐに目に入る点が異なる。

キャプション

 ある女子高生は、「インスタにかわいい言葉をつけられる」とユニークな位置情報をつける理由を語る。「友だちのインスタにかわいい言葉がついてて知った。かわいいので真似した」。

 たとえば「ありがとう」は亀戸にある居酒屋名だが、この位置情報をつけた投稿には、女子高生の自撮り写真や卒業時の集合写真などばかり並ぶ。未成年が飲酒しているというわけではなく、ただ「ありがとう」と表示するためにこの位置情報を使ったと考えられるのだ。「おかしなふたり」は宮城県にある居酒屋だが、やはりお酒の写真ではなく、女子高生たちのツーショットが多く投稿されている。「ただいま変身中」は中野のラーメン屋だが、やはり同様だ。

 このように、地名や店名でユニークなものは人気が高い。彼女たちが投稿写真につけている位置情報は、北海道や静岡県、大阪府、埼玉県など、日本各地に散らばっている。実際にそのような場所に行っているわけではなく、ただ言葉を表示したいためだけにそのような地名・店名の位置情報をつけていると考えられるのだ。

オリジナルな場所と紐付かない位置情報も

 「夢と魔法の国」「夢の国」などの位置情報をつけて投稿されている例もある。紐づくのはディズニーランドやディズニーシーだ。川崎市の藤子・F・不二雄ミュージアムも、「どこでもドア」という位置情報で投稿されている。藤子・F・不二雄ミュージアムにはどこでもドアのオブジェはあるが、投稿されている写真は女子高生のツーショットがほとんどであり、やはり主に文字情報を表示する目的で利用されているようだ。

キャプション

 そもそも存在しない位置情報や、位置情報でさえないものもある。たとえば「お誕生日おめでとうございます」は長野県の位置情報だが、実際はそのような地名も店名も存在しない。同様に「ドキドキ」は三重県の位置とされているが、やはりない。それどころか「楽しい生活」はそもそも位置と紐付いておらず、他にも「女子高生の日常会話」や「楽しい100年時代プロジェクト」など、位置と紐付かない位置情報は多数ある状態だ。

 実は、Instagramの位置情報はFacebookから自由に作ることができる。またその場にいなくても、検索して紐付ければ位置情報をつけた状態で投稿することも可能だ。遊びとしてオリジナルの位置情報を作り、表示させているのではないだろうか。

 なおZ総研は、「JK」という場所に紐付かない位置情報に対して、「Instagramの利用が広がりすぎて『#jk』では女子高生以外の投稿が増えすぎているため、同年代とつながる差別化のためにこのような使い方をしているのでは」と分析している。

 そのほか、先述したように「かわいい言葉」「写真のタイトル」として使っている例もある。彼女たちは表示させること自体がかわいい、楽しいと感じる言葉を選んで、位置情報で遊んでいるのだ。

 さらに調べると、少なくとも2019年末ごろにはすでにこのような使い方をした投稿が見つかる。その頃から徐々にこのような使い方の投稿が増えていき、最近になって一気に増加していることがわかる。利用しているのは多くは女子高生たちだが、一部大人も利用している。

 このような使い方は、実は日本の女子高生が最初というわけではないかもしれない。英語の位置情報「LOVE」「I love My Family」「Sorry Mom」「GOOD LUCK」「Lol(「笑う」意)」などは特定の場所とは紐づいておらず、英語圏のユーザーが同様の使い方をしている。このような使い方は日本だけでなく世界的なものものなのだ。

 既存の機能でも使い方によっては遊べるし、違う使い方もできるというわけだ。みなさんも、この柔軟な姿勢を参考にしてみると、より一層楽しめるかもしれない。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

企画広告一覧

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]