セガとディライトワークスは、共同制作タイトルとして開発を進めているスマートフォン向けゲーム「サクラ革命 ~華咲く乙女たち~」について、サービス開始に先駆け、メディア向けに開発スタッフによるトークセッションならびに先行プレイ体験会を行った。
本作は「サクラ大戦」シリーズを手掛けるセガがパブリッシャー、ディライトワークスが開発と運営を担当する形で、新機軸のサクラ大戦シリーズの新作として、12月15日からサービスを開始。「日本、奪還。」をテーマに、歌うことも戦うことも“未完”な乙女たちの成長物語を描くタイトルとなっている。
トークセッションでは本作のプロデューサーを務めるセガの木原卓氏、おなじくプロデューサーを務めるディライトワークスの岡村光氏、開発ディレクターを務める池大輔氏が登壇した。
木原氏は開発の経緯として、4~5年前からセガのゲームタイトルをスマホゲームとして展開していくことが検討され、サクラ大戦でも家庭用新作(後の「新サクラ大戦」)を制作する動きもあったことから、シリーズファンが納得してくれるであろう家庭用新作がある前提の元、サクラ大戦シリーズの魅力を伝えるタイトルを企画していたと話す。
開発パートナーを検討しているなかでディライトワークスも候補に挙がっていたのだが、諸条件などが合わずに一度は断ったという。しかしながら、ディライトワークス側から、後のサクラ革命となる新作の提案と強いアピールがあったことから開発に乗り出したのがきっかけと振り返る。そしてそのときの提案書には、すでに「日本、奪還。」のキーワードが入っていたという。池氏も、開発サイドからこのキーワードを聞いたときに、初めは「サクラ大戦だったら帝都では?」と思ったそうだが、これをいかにサクラの世界で表現できるかということを3人で話し合って進めたと語った。
「サクラ大戦らしさ」もテーマとして語られた。木原氏は、本作は今までのシリーズものとは全く別の、新しいものを作るということから始まったという。とはいえ、シリーズのひとつであるがゆえ、サクラ大戦らしさも着目されるというところで、特に池氏とはかなり話し合ったという。
池氏はサクラ大戦について、カッコいいメカが登場したり、女の子による舞台、きらびやかな舞台演劇があったりと、いろんなものが詰め込まれた「豪華エンターテインメント」と表現する。そして新規のシリーズを作るにあたっては、それらをすべて踏襲するのではなく、伸ばしていくべきものを抽出する形で考えたという。そして本作では乙女たちが一生懸命頑張ること、舞台に魂をぶつけていく姿を作品の柱として考えたとしている。
続けて池氏は、サクラ大戦が舞台や歌劇と切っても切り離せないものとし、舞台を初めて見たきっかけとなったのがサクラ大戦(歌謡ショウ)という人も少なくないと語る。これを踏まえると新しいシリーズでも、舞台をテーマとして盛り込むことは3人が一致した見解だったと振り返った。
また楽曲の制作についてはセガ側が担当しているものの、木原氏はセガ単独で決めているのではなく、開発側と話し合いを重ねたうえで制作陣に依頼し、こだわりながら一緒に制作していることも付け加えた。本作の脚本は、演劇の演出や舞台俳優としても活躍している松崎史也氏が担当しているのだが、池氏によれば、ゲーム内で歌劇の公演シーンはダイジェストとしてあるものの、松崎氏からは公演の最初から最後まで細かく書いた脚本として用意されているという。曲の発注でも、起承転結までととのった脚本をもって依頼をしているという。そのうえで、木原氏は想像を超えた楽曲が出来上がるということで、本作の歌唱楽曲における作詞を担当する畑亜貴氏、作曲を担当する田中公平氏を称賛していた。
池氏は、松崎氏による脚本についても言及。松崎氏による舞台を見たときに、興奮しっぱなしになるぐらい熱いものだったという。また松崎氏もサクラ大戦が好きだったことから意気投合し、脚本を担当することになったと話す。池氏は松崎氏が担当したことで、ゲームの脚本に舞台演劇のリアルさや、実際に舞台に立っている人だからこそ言えるセリフが盛り込めたとしている。ほかにも、いわゆる決めゼリフが立っていて強いと表現できるようなものも特徴とも語っていた。
本作を彩る乙女たちについても触れられた。木原氏は、いわゆる“未完”でこれから育っていく乙女たちを中心とした「帝国華撃団」と、完璧なエリート集団である「大帝國華撃団B.L.A.C.K.」との対比が特徴と説明する。
池氏は、大帝國華撃団B.L.A.C.K.が、発表時に戦い続けるアーティストグループという、いわゆるアイドル的な見せ方をしたことで、シリーズのファンから違和感を感じたり「サクラはアイドルじゃない」と思われるようなことも想定していたという。それを踏まえて、敵でありながらも「帝国華撃団を名乗っていいのか」という考えを持ってもらうことや、乗り越えたくなるような高みにいる存在であること、カッコよさもありながらかわいいと思ってもらえるようにしたとしている。
メインヒロインである咲良しののビジュアルについて、池氏は、成長したときに帝国歌劇団の正面を張れるような女性の、芽吹く前の状態にあることをイメージして作られたという。木原氏は、しのの目の力が印象的で、アップにしたときに映えるとも語り、池氏も登場する乙女が志を持っている女性である以上、目に力のある女性であることがイメージされ、特にしのについてはキャラクター原案であるオハラミサオ氏とも相談し、目を見たときに印象が持てるようなデザインを心掛けたとしている。
バトルシステムの「コマンドラインバトル」と呼ばれるもので、岡村氏からはシミュレーションRPGのバトルシステムを、スマートフォンで表現し最適化したものをイメージして開発されたという。池氏からは、サクラ大戦はガチガチなシミュレーションゲームではないものの、良質なシミュレーションゲームを楽しんだ気にさせてくれたものと振り返り、本作でもシミュレーションを遊んだような気になれるシステムということで、位置関係でキャラクターの個性が発揮されるなどの要素も盛り込んで取り入れたという。
最後に木原氏からは「新しいサクラ大戦を作るということで一緒に作り上げてきた。ディライトワークスのキャラクターへの思い、サクラ大戦への思い、開発力を信じてここまで作ってきたので、期待していただきたい」、岡村氏からは「サクラ大戦らしさとは何かを、開発メンバー一同で考えながら、新しくサクラ革命という形で作ったタイトルとなった。たくさんの乙女が登場するが、みなさんが好きになってくれるような乙女がひとりでもいてくれたら」、池氏は「松崎さんと一緒に作り上げた物語と、セガのみなさんと一緒に考えたキャラクターが、ひとりでも多くの方に楽しんでもらえたら。サクラ革命は、サクラ大戦のすべてを継承しているものではないが、我々が考えているサクラ大戦の良かったところを伸ばしながら形にしたもの。これもサクラ大戦としてありかなと思っていただければありがたい」と、それぞれに語った。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス