定額住み放題 HafH(ハフ)を運営するKabuK Styleは11月、沖縄ワーケーションプレスツアーを行った。実は、緊急事態宣言が明けた6月以降のHafHプラン新規登録者数は急増し、予約受付数も8月から10月は3カ月連続で過去最高を記録したという。本稿では、HafHで泊まれる那覇市内のホテルや、KabuK Style共同代表の大瀬良亮氏への現地取材から見えた、ニューノーマルに向けたワーケーション最新動向をお伝えする。
HafH(ハフ)とは、世界26の国と地域、265の都市にあるホテルやゲストハウスに泊まり放題の定額コリビングプラットフォームだ。2019年4月より提供を開始し、2020年11月現在の拠点数は430。導入のお試しプランでは、月3000円で2泊(2021年1月より1泊)できるほか、毎月の宿泊日数ごとに3つのコアプランがある。現在はGoToトラベルキャンペーン対象だ。客室ごとに必要なHafHコイン数が設定されており、コインがなくても0コインの客室には宿泊できる。
2018年にHafHをリリースしたKabuk Style共同代表の大瀬良亮氏は、政府への出向中に世界中を飛び回ったという自身の働き方の変容が、HafHの原体験になっていると話す。
「世界中を旅しながら働くことで、時差もある過密スケジュールで睡眠不足でもせっかくだから早起きしてその街を歩いてみよう、街の人と話してみようという変化が生じた。東京のオフィスで働いていた時は、できる限りギリギリまで寝て、なるべくストレスをかけないように働こうと“ネガティブな努力”をしていたが、“ポジティブな努力”に変わって日々を過ごせるようになったことに気がつき、これはいいと思った」(大瀬良氏)。
大瀬良氏は、長崎市内にある出島の出身。長崎と五島の2拠点生活をして育ったという。出島は400年前すでに、「旅して働く人」が日本全国そして世界中から集まっていた場所だ。大瀬良氏は、「パソコン、ケータイ、インターネットさえあればどこでも働ける現代に、東京ではなく長崎から“Home Away from Home(遠く離れていても家と呼べる場所)”を体現できたら、きっとほかの地域にも横展開できる」と、地元長崎に本社を構えた。長崎県内には直営施設も含む26拠点があり、地元のレストランでの食事付きプランをHafHコインで提供する“地域通貨”にもトライアル中だ。
「旅をしながら働く」を原点に、アドレスホッパーと呼ばれるデジタルノマドを中心として利用を拡大していたHafHだったが、コロナ禍による働き方の変化が追い風となり、新たな客層を獲得している。テレワークやワーケーションの必要性が改めて叫ばれるなか、20〜30代の会社員ユーザーが急増しているのだ。
大瀬良氏が、こうしたミレニアル世代の行動変容を嬉しそうに紹介する姿は、非常に象徴的だ。「サーフボードとPCを抱えて、HafHを訪れる方もいらっしゃるんですよ。これまで朝夕通勤していた時間に、サーフボードや釣りをしたり地元の方と立ち話をする、これぞ『ワーケーション』ですよね」(大瀬良氏)。
大瀬良氏は「働く場所を自分で計画して、選ぶことに無限のポテンシャルがあるのに、昨今では家で働くことをテレワークと呼び、会社と家のどちらで働くのがいいかという議論の末に、また会社に戻るという流れもあって、これには大きな違和感がある」と指摘する。
一方で、「むしろ外に出たほうがいいのではないか」と気がつく会社も出始めているという。三密を避けるなどの感染防止対策は大前提だが、「テレワーク」イコール「在宅勤務」とは捉えない、Afterコロナに向けた働き方のニューノーマルを積極的に構築しようとワーケーションに乗り出す企業と、テレワークはやはり無理だと後戻りしてしまう企業との二極化が進みつつあるようだ。
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