Appleは11月11日、6月のWWDCで予告していた通り自社開発チップ「Apple M1」を搭載したMac第一弾を発表した。今回刷新したのは、MacBook Air(税別:10万4800円~)MacBook Pro 13インチ(税別:13万4800円~)、Mac Mini(税別:7万2800円~)の3機種だ。
Apple M1は、「Appleシリコン」として6月に発表したArmベースの自社開発チップだ。MacBook Air、MacBook Pro、Mac miniの3シリーズは、いずれも外観にはほとんど変化がない。
しかしながら実機でテストしてみると、単純に「高速」「バッテリが長持ち」といっただけではなく、少々、高負荷の処理をしても本体温度が高くならない、スマホのように素早い起動――など、ユーザー体験の質全体が高く仕上げられていた。
中でもMacBook Airは、見た目こそインテル製プロセッサを搭載していたころと同じだが使用感はまるで別の製品になっていた。アップルはCPU性能が最高3.5倍、GPUが最高6倍、機械学習処理で15倍になっていると訴求するが、そうしたパフォーマンス以上に製品の完成度が高い。
独自SoCのApple M1は、CPU速度だけならば16インチ版MacBook Proのスタンダードモデルに匹敵し、GPUに関してもインテルの最新モバイルプロセッサであるIntel Corei7-1165G7の28Wモードよりもさらに高速であるため、MacBook Proのプロセッサとしても最適だが、より適しているのはMacBook Airだ。
これまで13インチクラスのMacBookを購入したいという知人には、約110gの重量増を許容できるならMacBook AirではなくMacBook Proのローエンドモデルを選ぶことを勧めてきた。しかし、Apple M1を搭載しているのであれば、ベストチョイスはMacBook Airだ。
MacBook Airは、インテルの第10世代プロセッサ(Ice Lake)を搭載していた前モデル(2020年3月発売)に対し、すべての点で体験の質が大幅に改善していた。性能の高さに関しては後述するが、何よりも前モデルで気になっていた点がすべて解決していることが印象的だ。
前モデルは冷却ファンを備えていたが、薄くコンパクトに設計された冷却システムは、高負荷が続くと若干高い周波数のファンノイズを出していた。日常的な利用シーンではほとんど気になることはないとはいえ、ファンレスのM1搭載モデルとは比べられない。
もっとも冷却ファンがないということは、本体の熱を逃しきれず、手元や底面が熱くなるというリスクもある。ところがmacOSをセットアップしてメールとクラウドにある書類を同期させた直後のタイミング、通常ならば検索用インデックス作成で本体が熱くなり、冷却ファンもけたたましくなるところだが、M1搭載のMacBook Airはほんのりと温かくなる程度だった。
液晶パネルを閉じてスリープさせた状態から復帰させる際にも、いつ復帰したのかわからないほど速い。リッドを開けた瞬間に画面が表示されているため、すぐに使い始めることができる。
Big Surになって電源管理がきめ細かになった(たとえばバッテリ運用時は過去メールの同期とインデックス作成を一時的に停止するなど)ことも理由ではあるが、バッテリ消費も少ない。スペック上は15時間のウェブブラウジングとあるが、実際のところ一日中、バッテリだけで仕事をしていてもバッテリ残量は半分以上残っていた。
もちろん、大量の写真や動画を処理すればバッテリは減るだろうが、M1搭載のMacBook Airを使い始めたら、バッテリ残量に対して無頓着に使いこなすようになるはずだ。たとえACアダプタを持ち歩く場合でも、付属のアダプタは30ワットタイプでコンパクトかつ軽量。
冷却ファンの音がなくなるだけでも快適性は大きく上がるが、これだけ消費電力が低いと利用シーンの中で本体の熱さどころか、温かさを感じることすらなくなる。これは大袈裟な表現ではない。
結果として発熱で性能が大きく下がることが多かった前世代のMacBook Airと比べると、体感的にも実質的なパフォーマンスの面でも、嘘のように快適に使える。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス