もちろん、デスクトップで大きなディスプレイを前に作業をしたい人ならMac miniが適切だろう。より大きなバッテリを搭載し、ディスプレイも明るく(MacBook Airの400nitsに対して500nits)、Touch BarのあるMacBook Proを選びたい方もいるだろう。AirとProの違いについて、下記にまとめたが、価格差が3万円あることを考えれば、やはりMacBook Airが費用対効果で高い。
問題は動画の書き出しや大量のRAW現像といった、いわゆる”重い処理”でもAirの性能が落ちないかであろう。
そこでCPU負荷がほぼ100%に張り付くテストとして知られるCinebench R23(M1に対応済み)でテストしてみた。このベンチマークテストでは、単純に3Dグラフィクスのレンダリングを行うだけ(1枚の映像のみ生成)のテストに加え、10分あるいは30分同じ処理を行った時の最後の1枚を生成するパフォーマンスの評価をスコア化して比較できる。
M1搭載MacのCinebench R23スコアは、どのシリーズでもシングルプロセッサで1470、マルチプロセッサで7800程度で違いはない。言い換えれば初回のレンダリングだけならば、AirでもProでも違いは出ない。では30分動かし続けるとどうなるかと言えば、Mac miniはまったく変化がないのに対して、MacBook Airのスコアはマルチプロセッサスコアで6600程度まで落ちる。MacBook Proのマルチプロセッサスコアが7450までしか落ちないことを考えば、ファンレス設計のデメリットは大きくないと言える。
なにしろTiger Lakeを搭載するCorei7-1165G7の28ワットモードの一般的なベンチマーク結果は約4900。それよりも高性能なのだ。しかも最初の2分ほどだけならば、ほとんど差が出ない。
Final Cut Proで12分間のフルHD動画プロジェクトをH.264で書き出すテストも行ったが、3つの M1搭載Macはいずれも2分55〜57秒と誤差範囲内に収まり、MacBook Airもほんのりと暖かくなる程度だった。
同じプロジェクトをCoffee Lake搭載のMacBook Pro(2018Late)の上位モデルで出力すると11分7秒、MacBook Pro 16インチ(2020 Mid)のCore i9モデルでは2分23秒だった。さすがに8コアのCore i9モデルは高速だが、同時に冷却ファンがフル稼働する程度に熱を帯びることを考えれば、M1の電力効率の高さがわかる。
一方、インテルからARMへと命令セットが変化したことで、従来のアプリケーションはARM命令へと変換されてから実行されることになる。この時の性能低下を危惧する声も多かった。しかし、結論から言えば十分に高速だ。
変換を行うRosetta2は30%ほどの性能低下でインテル命令のプログラムを実行できる。インテル命令を実行する際には高効率コアは用いられず、高性能コアのみで実行される(4コアCPUとして認識される)のも理由だろうが、 M1が高性能であるためエミュレーションしても遅くならない。
Big Sur標準搭載の写真アプリを除くとApple Silicon対応の写真現像アプリは現時点でPixelmeter Proしかない。このためAdobe Lightroomでの性能を計測してみたが、比較対象がCoffee Lake搭載のMacBook Pro(2018Late)上位モデルと少し前の世代ではあるものの、RAW現像の書き出しで圧倒的に高速だった。
Apple Siliconへの対応は、アップル自身が強く推進してきたこともあり、動画編集ソフトではDaVinci Resolveが対応を表明しているほか、アドビはCreative Cloudの主要アプリケーションをApple Silicon対応させることを明言している。
問題はその時期だが、公式な案内はまだ出ていないものの、年内には対応版がリリースされるとの情報がある。これはマイクロソフトも同様で、Mac向けのOfficeは近日中にアップデートされる見込みだ。
Rosetta 2による性能低下が3割と仮定するならば、前述したLightroomの書き出し速度はさらに3割速くなるだろう。
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