ゾウの鼻は素晴らしい。小さな枝も大きな丸太も器用に簡単に取り上げることができる。豪シドニーのニューサウスウェールズ大学(UNSW)の研究者らは、その巻き付く仕組みに着想を得て、注射器やハンマーなどさまざまな物を握れるロボットグリッパーを開発した。
「われわれの新たなソフトファブリックグリッパーは薄く、平たく、軽量で、さまざまな物体をつかんで持ってくることができる。例えば筒の中のペンのように、限られたスベースの中にあるものでもつかめる」とUNSWの医療ロボット専門家、Thanh Nho Do氏は現地時間11月9日の発表で述べた。同氏は、5日にAdvanced Materials Technologies journalに掲載された論文の共同著者だ。
UNSWは、スクリュードライバー、手のこぎり、きゅうり、さらには1粒のぶどうなど、さまざまな物体に巻き付くプロトタイプの動画を公開している。
このグリッパーは単純なつくりに見えるが、小さなボディーに多くの技術が詰め込まれている。巻き付く対象に応じた適切な圧力をかけるために、感圧センサーが使われている。
「熱を感知して作動する機能も付いており、グリッパーのボディーを柔らかくしたり、反対に固くしたりできる。この機能によってさまざまな形や重さの対象をつかんで保持することができる。グリッパー本体の最大220倍の重さの物体に対応している」とDo氏は説明している。
研究者らは現在、このグリッパーをロボットアームに取り付けようとしている。また、グリッパーと触覚グローブを組み合わせて、ロボットが触れている物の感触をユーザーが分かるようにすることにも取り組んでいる。このグリッパーは今後12~16カ月のうちに市販される可能性がある。
Boston Dynamicsの犬型ロボット「Spot」やハーバード大学のタコの触手を模したロボットなど、近年は自然から着想を得て開発されたロボット開発が続いている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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