Donald J. Trump大統領は、1月にホワイトハウスを去る。FacebookやTwitterといったソーシャルメディアプラットフォームの影響力を利用して誤情報を拡散したり、国民を煽ったりした一方で、テクノロジー業界を非難してきたことによる傷跡を残して。
大統領の座にあったTrump氏の4年間を特徴付けるのが、テクノロジー業界との愛憎関係だ。70歳代半ばでありながら、同氏はTwitterのフォロワー数が870万人を超えるというソーシャルメディアの達人であり、突然の、たびたび誤字のあるツイートでニュースのサイクルを混乱させ、大統領としての規範を逸脱することも多かった。その一方で、誤情報を抑え込もうとするTwitterやFacebook、Googleに対し、それを侮辱と見なして批判を浴びせてきた。もっとも、そうした誤情報の一部は同氏が発信したものだ。大統領選の投票後も、大統領のツイートやFacebookへの投稿のうち相当数が、Twitter、Facebook両社によって誤情報と判定されている。
Trump氏がソーシャルメディアで個人のアカウントを使っていること、特にTwitterでフォロワーを集められるその能力は、同氏のにわかな躍進に大きな役割を果たした。自身の会社を6回倒産させた経験を持つ不動産王、そしてリアリティショー「アプレンティス」の人気ホストという境遇から、共和党からの国の最高指導者候補という地位にまで昇りつめたのだ。2016年大統領選の際には、一般投票では290万票の差で負けながらも民主党のHillary Clinton候補を下し、国中を仰天させた。Trump氏のソーシャルメディアでの存在感は、今年の再選のカギを握っていた。
2016年の大統領選と、その結果にロシアが関与したという疑惑を受けて、議員も有権者も、ソーシャルメディアが社会と生活に及ぼすマイナスの影響について懸念を表すようになった。その動きに連動したのが、2020年に74歳を迎えたTrump氏と、テクノロジー業界との不安定な関係だ。その関係は、テクノロジー業界トップとのツーショットから、主義主張をめぐる真っ向からの対立まで、大きく揺れ動いてきた。
Trump氏は、Appleの最高経営責任者(CEO)Tim Cook氏や、FacebookのCEO、Mark Zuckerberg氏といったテクノロジー業界の幹部と、あるいは携帯キャリア各社のリーダーたちと、公的にも私的にも何度となく会合を重ねてきた。2017年5月には、米国政府の運営を刷新すべく米国テクノロジー評議会を設立し、経済界との連携をたびたびうたうようになった。
だがその一方では、ことあるごとにテクノロジー企業と衝突もしている。同評議会の設立から1カ月後、Trump氏はパリ協定からの離脱を表明。地球温暖化を抑える目的で200近い国が締結している協定である。これに対して、Apple、Google、Microsoftなどのテクノロジー大手や、連合した企業および市民組織は引き続きパリ協定の取り決めに従うとの声明を出した。TeslaのCEOであるElon Musk氏は、Trump氏の言動を理由に評議会から脱退した(次期大統領となるJoe Biden氏は、1月の就任初日からパリ協定への復帰に向けて行動すると公約している)。
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