その2カ月後、Trump氏はバージニア州シャーロッツビルの極右集会で起きた事件をめぐって、ネオナチに対する態度の甘さを批判された。この集会では女性が1人死亡し、19人の負傷者も出ている。この事件をきっかけに、テクノロジー業界のトップが大統領助言機関を去ることになった。IBMで当時CEOだったGinni Rometty氏は戦略政策フォーラム(現在は既に解散)を去り、Intelの当時のCEO、Brian Krzanich氏も製造業評議会を去っている。
Obama政権時代には、幼少時に米国に入国した不法移民を国外退去から守る「若年移民に対する国外強制退去の延期措置」(DACA)というプログラムがあった。そのプログラムをTrump政権が破棄すると報じられたときも、テクノロジー業界の憤慨を買っている。Appleなどの企業は、DACAの適用を受けた従業員を雇用していたからだ。
2018年には、不法入国した家族に対する措置として子どもたちを親から引き離す政策がとられ、テクノロジー業界はこれにも反対を表明した。
Trump氏も反撃に出る。大統領として、ソーシャルネットワークが保守的な意見を検閲していると、何の根拠もなく訴えたのだ。当然、ソーシャルネットワーク各社はその指摘を否定。そうした応酬のなか、同氏は通信品位法230条のもとで認められているインターネット事業者の保護措置を撤廃しようと模索し、同条の改正を求める大統領令に署名した。これは、選挙戦が加熱する過去数カ月の間に大統領が打ち出した動きのひとつだ。
Trump氏は、VerizonやComcastといったインターネットサービスプロバイダーを含む多くの業種を支援するために、規制緩和を擁護したこともあった。「ネット中立性」規則撤廃の先鋒を務めた連邦通信委員会(FCC)のAjit Pai委員長は、Trump氏が任命した人物だった。ただしこの撤廃は、決定されたものの、現在も法的な異議申し立てを受けて審理中だ。
国内企業を保護しようとするTrump氏の狙いは、国外では中国との貿易をめぐる確執という形で現れる。同氏は、当時シンガポールを本拠としていたBroadcomが米Qualcommを買収しようとする動きを阻止したが、これは5Gに関する知的財産が流出することを懸念したためだった。2019年5月には、中国の通信大手、華為技術(ファーウェイ)が米国の技術を利用するのを禁じ、事実上Googleの「Android」OSの重要な部分に同社を関与させないようにした。中国が、ファーウェイの端末や機器を、米国の市民や企業に対するスパイ活動に利用するという憂慮からだった。
Trump政権下のホワイトハウスは、5Gネットワークのサポート強化も視野に入れ、一時は5Gネットワークの国有化というアイデアまで浮上した。これには共和党員の多くからも、また通信事業者各社やテクノロジー業界からも、非現実的だとして批判の声が上がった。キャリア各社による配備が既に進んでいたからである。
7月になるとTrump氏は、ショート動画アプリ「TikTok」に関して米国企業への売却を命じ、さもなければ市場から締め出すとする大統領令を発動。このときもセキュリティが動機で、同アプリが米国市民について大量のデータを収集しているという理由だった。この大統領令によって、TikTokを運営する中国企業、字節跳動(バイトダンス)は、Oracleとの提携を検討することになり、大統領はこれを原則承認している。
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