光学系の進化に加えて、コンピュテーショナルフォトグラフィーも進化している。iPhone 11では「次世代のスマートHDR」が搭載されていたが、iPhone 12では「スマートHDR 3」が搭載された。またシーン解析も追加されており、よりアクティブに、撮影の状況をiPhoneが判断するようになった。
iPhone 12のカメラで思い切り変わった点は3つある。
最初の2つは絵作りの話だ。夜の風景でも同様だったが、発色が良くキレの良い写りに変わっている。明るい場所、逆光、暗い場所でも、色のりが良いため、おそらく多くの人にとって分かりやすく『カメラが良くなった』と感じるだろう。
個人的に、iPhoneのカメラの写りはどうしても黄色が強いと感じており、撮影後にしょっちゅうホワイトバランスを修正していた。しかしiPhone 12では、明るい場所、暗い室内でも、白がきちっと白く再現されるようになり、ホワイトバランスを修正する必要が(私にとっては)なくなった。
もう一つは主題の理解だ。これはポートレート撮影をしたり、明暗がはっきりしている風景を撮影したりしたときに感じたことだが、iPhoneのカメラは何を撮影者が意図しているのか、を理解してくれるようになりつつある。ポートレートであれば人の顔をより明るく鮮やかに映したい。風景であれば、主題となっているものが、きちんと写真の中でも主役として切り取られるようにする。
当たり前のことに感じるかもしれないが、普通のカメラはカメラを向けたときに入ってくる情報を元にして、最適な露出やシャッタースピードを決めているだけなので、意図から外れてもお構いなしだった。シーン解析は、何が主役なのかを理解して、そこを強調できるようにしてくれており、タダシャッターを切ったときの結果は当然意図に近くなる。
iPhone 11で搭載されたナイトモードは、光学系、処理系双方の強化によって、より良い結果が得られるようになった。個人的には、星空を手持ちで撮影して、ちゃんと星が写る点は、かなり心躍る進化となった。
加えて、タイムラプスにもないとモードが利用できるようになり、星空を写しなが流れる雲が早送りされていく映像は、なかなか楽しいものだった。iPhoneのカメラについては、現状あまり解決されていないHDRビデオの問題がある。これについては、別途触れたいと思う。
(続く)
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