ソニー、「鬼滅の刃」封切り、PS5発売控え、営業利益は第2四半期として過去最高

 ソニーは、2020年度上期(2020年4~9月)の連結業績を発表。そのなかで、2020年11月12日に発売を予定している「プレイステーション5」(PS5)の発売戦略について触れた。

「PS5は最高の形で発売を迎えることになる」

 ソニー 副社長兼CFOの十時裕樹氏は、「PS5の初年度の販売台数については、PS4の発売初年度実績である760万台以上の達成を目指す。PS5対応ソフトウェアについては、プレイステーションエクスクルーシブの良質な自社制作タイトルに加えて、パブリッシャー各社との協業により、ローンチのタイミングでは、歴代最多のタイトルをラインアップする。PS5のローンチに大きな影響を与えるようなゲームソフトの遅れは生じていない」とした。

ソニー 副社長兼CFOの十時裕樹氏
ソニー 副社長兼CFOの十時裕樹氏

 さらに「魅力的なソフトウェアに加えて、プレイステーションのブランド力、世界有数のゲームエコシステム、強固なユーザーコミュニティがそろい、最高の形でPS5の発売を迎えることになる。PS5を通じて、最高のゲーム体験を届けることで、ユーザーとのエンゲージメントを高め、収益を拡大することを戦略の柱とする。今後はネットワークサービスのさらなる強化により、コミュニティの裾野を広げ、リカーリング収益の成長を加速させる」とした。

 また、「最終的には、PS4の累計出荷1億台を超えたいと考えている。時間はかかるだろうが挑戦したい」とも述べた。

 2020年度上期の売上高は前年同期比0.9%増の4兆0824億円、営業利益が7.1%増の5461億円、当期純利益が103.8%増の6928億円となった。また、第2四半期は、売上高は前年同期比0.4%減の2兆1135億円、営業利益が13.9%増の3178億円、当期純利益が144.6%増の4596億円となった。

 また、2020年度通期見通しを上方修正。売上高は8月公表値に比べて2000億円増となる前年比2.9%増の8兆5000億円、営業利益が800億円増の17.2%減の7000億円、税引前利益は800億円増の4.3%減の7650億円、当期純利益が2900億円増の37.4%増の8000億円とした。

2020年度上期連結業績
2020年度上期連結業績
2020年度連結業績見通し
2020年度連結業績見通し

 ソニーの十時氏は、「米国政府による中国特定大手顧客向けの輸出規制強化が、イメージセンサー事業に大きく悪影響を及ぼす一方で、新型コロナによる巣ごもり需要はゲーム事業などに好影響を与えている。急速に大きく変化する需要環境においては、多様な事業ポートフォリオを持つことがレジリエンスを高めており、新たな事業拡大の機会を得ている」と述べ、「営業利益は第2四半期としては過去最高となった。大幅な増益は、日本の連結納税グループにおいて繰延税金資産に対する評価性引当金の一部を取り崩したことによるもの」とした。

 なお、PS5の通期業績への影響については、「ハードウェア本体では、収益に対しては若干のマイナスと見ている。だが、PS5が市場に浸透すれば、顧客がソフトウェアなどを購入することにつながる。PS5全体でのエコシステムが活性化し、収益に貢献することを期待している」と語った。

PS5のローンチ戦略
PS5のローンチ戦略

劇場版「鬼滅の刃」、IP活用などエンタメ事業とのシナジー効果にも期待

 第2四半期(7~9月)のセグメント別業績は、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)の売上高が、前年同期比11%増の5066億円、営業利益は399億円増の1049億円となった。また、2020年度の通期見通しは、売上高が8月公表値に比べて1000億円増の2兆6000億円、営業利益は同600億円増の3000億円と上方修正した。

 「自社制作ソフトウェアの『Ghost of Tsushima』の大ヒットや、巣ごもり需要による『PlayStation Plus』(PS Plus)の会員数の増加などにより、ソフトウェア、ネットワークサービスともに好調に推移した。PS5の発売を控えたハードウェアを除く、すべてのカテゴリーで増収となった」としたほか、「プレイステーションユーザーの総ゲームプレイ時間は、ピークとなった4月からは落ち着いているものの、9月でも前年同期比約30%増となっている。巣ごもり需要は、下期に向けても継続すると見ている」と予測した。

 音楽の売上高は前年同期比5%増の2309億円、営業利益は154億円増の529億円。そのうち、ストリーミングサービスは前年同期比18%増という高い成長を遂げたという。また、2020年度通期見通しは、売上高が8月公表値に比べて600億円増の8500億円、営業利益は220億円増の1520億円とした。

 「ストリーミングサービスの売上げの増加や、日本では米津玄師のアルバムの大ヒットが貢献。事業譲渡による一時的な利益計上もあった。音楽制作では、新型コロナの悪影響を受けていた広告型ストリーミングも回復基調にある」としたほか、「連結子会社であるアニプレックスが制作、配給に関わっている劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』が封切られ、史上最速となる公開10日での興行収入100億円を突破した。テレビシリーズは海外でも配信され大きな人気を博している。アニメ事業に留まらず、IP活用によるエンターテインメント事業間のシナジー強化にも貢献することを期待している」と語った。鬼滅の刃の通期業績への貢献について、現時点では見通しを明らかにしなかった。

アニプレックスが制作、配給に関わっている劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』が封切られ、史上最速となる公開10日での興行収入100億円を突破した
アニプレックスが制作、配給に関わっている劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』が封切られ、史上最速となる公開10日での興行収入100億円を突破した

 映画の売上高は前年同期比26%減の1923億円、営業利益は76億円減の318億円。2020年度通期見通しは、売上高は据え置き7600億円としたが、営業利益は70億円増の480億円とした。

 「新型コロナの影響により、劇場公開作品が大幅に減少していることや、メディアネットワークによる広告収入の大幅な減少が影響した」とする一方、「映画作品やテレビ番組の制作は、コロナ感染防止に努めながら、7月から順次再開している。劇場公開について回復の兆しがあるものの、米国の主要都市では、依然として劇場の閉鎖が続いており、主要スタジオは大型作品の公開を延期している。劇場再開後も映画公開スケジュールが過密となることで競争が激化し、収益の回復が遅れる可能性がある。映画製作は、劇場公開でヒット作を創出し、それをホームエンターテインメントやテレビ局、動画配信サービスへのライセンスなどを通じて、長期に渡り、収益に結びつけていくビジネスモデルであり、作品の劇場興行ができないことによる業績の悪影響は、今後、複数年に渡って続くと見ている」とした。また、新型コロナの影響を受けていたメディアネットワークについては、広告収入が回復基調にあるとした。

 エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)の売上高は前年同期比2%増の5047億円、営業利益は126億円増の540億円となった。2020年度通期見通しは、売上高は据え置き1兆8700億円としたが、営業利益は70億円増の670億円とした。

 「2020年2月から、新型コロナの影響をいち早く受けていた事業だが、第2四半期は、サプライチェーンの安定化やホームAV商品の巣ごもり需要、デジタルカメラの需要回復、テレビの販売台数の増加およびモデルミックスの改善があった」という。だが、「足元では新型コロナ再拡大の兆候も見られており、断続的にサプライチェーンに影響が及ぶなど、引き続き予断を許さない状況が続いている。事業運営には緊張感を持って取り組んでいる。オペレーションの効率化や規模の適正化を通じて、より厳しい環境下でも利益が創出できる体制構築を進める」と述べた。

 イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)の売上高は前年同期比1%減の3071億円、営業利益は265億円減の498億円。2020年度通期見通しは、売上高は8月公表値に比べて400億円減の9600億円、営業利益は490億円減の810億円とした。

 中国特定大手顧客向けの輸出規制強化が影響しており、設備投資、研究開発、顧客基盤の観点から事業戦略の見直しを進めていることを示しながら、「設備投資については、さらなる後ろ倒しを行い、計画からは400億円程度の減額をしている。だが、研究開発投資については、幅広いスマホ顧客からのニーズに応えること、将来の技術面での競争優位性を維持、向上するために、拙速な削減はすべきではないと判断している。顧客基盤の拡大や分散は、2021年度に向けて一定の成果は出始めている。2021年度には、失った数量ベースの市場シェアのかなりの部分を取り返すことが可能である。また、特定顧客向けに展開してきたスマホカメラの高性能化、センサーの大型化を他の顧客向けに展開するには相当の時間がかかると見込んでいる。そのため、付加価値による収益性の改善は2022年度になる。2021年度は、汎用センサーの販売増による市場シェアの回復、2022年度は高付加価値製品による収益性の回復を成し遂げ、モバイルイメージセンサー事業を、再度成長軌道に戻す。また、車載センサーの本格的な立ち上げで成長を目指す」などとした。

 金融の売上高は前年並の3739億円、営業利益は49億円増の437億円。2020年度通期見通しは、売上高は8月公表値に比べて600億円増の1兆4600億円、営業利益は130億円増の1550億円とした。なお、9月2日付で、ソニーフィナンシャルグループが、ソニーの完全子会社となっている。

 十時氏は、「2020年度は、I&SSでの特定大手顧客にかかる業績への悪影響を見込んでいるものの、グループ全体では、中長期的な成長のモメンタムに変化はない。コロナ禍であっても経営力の強化、事業の成長は可能であるとの確信を得つつある。2021年度は次期中期経営計画がスタートする。再度、利益成長の軌道に戻す」と意気込みを語った。

2020年度第2四半期セグメント別業績
2020年度第2四半期セグメント別業績
今後の事業のモメンタム
今後の事業のモメンタム

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