完全な自動運転に対応した自動車が実現すれば、走行中の車内で運転以外のことができる。Volvo Carは以前、自動運転車が移動に対する考え方を変えるとして、さまざまな過ごし方が可能な自動運転車のコンセプトデザイン「Volvo 360c」を発表した。
同様のアイデアは、ほかの自動車メーカーも検討している。たとえば、Ford Motorは自動運転中に映画などの映像コンテンツを楽しめるシステム、自動運転中はハンドルやペダルを取り外せる自動車、といった技術を考案している。
また、Volvo Carは、自動運転中に邪魔なハンドルを横へ動かしてどけておける技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間9月24日に「VEHICLE HAVING MULTIPLE DRIVING POSITIONS」(公開特許番号「US 2020/0298900 A1」)として公開された。出願日は2019年3月20日。
この特許は、自動車のハンドルが固定されておらず、左右水平方向へ動かせるようにする技術を説明したもの。通常、ハンドルは右や左の運転席前面に固定されているが、この技術を適用すると、水平方向へ動かして、好きな位置に配置しておける。
自動運転は走行中にハンドルを使わないため、助手席の前に移動させたり、運転席と助手席の中間に移動させたりすると、ハンドルが邪魔にならない。特許では、自動運転モードと手動運転モードのどちらで走行しているかに応じて、ハンドルを移動するかしないか判断するアイデアにも言及している。
アクセルやブレーキといったペダル類、トランスミッション操作用レバー、速度などを表示するディスプレイ、シートについても、ハンドルに合わせて動かす仕組みの説明もある。さらに、何かと衝突した際に乗員を守る目的で作動させるエアバッグも、ハンドルの位置に応じて展開する場所を変えるとしている。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
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